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2015年05月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年07月

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薬丸岳   「刑事のまなざし」(講談社文庫)

薬丸岳   「刑事のまなざし」(講談社文庫)
少年A, 酒鬼薔薇聖人の手記本が話題になっている。
しかし人間は十人十色とはよく言ったものだ。他人の想い、考えなどわかっているつもりにはなっているが、実は何もわかっていない。何の罪もない子供を殺す。でも少年法により刑罰は受けることなく、少年院をでれば一般人として暮らす。
 通常は、事件を起こした土地を遠く離れ、目立たず、静かに暮らそうとするように思う。それが、手記を書き更に本にして出版するということだから驚愕である。全く理解できない。
 この作品も、殺人を犯し(但し、10年以上捕まってはいない)少年院にも入った経験のある男が登場する。人間はわからない。その殺人現場を目撃していた同級生の女の子。その子の妹が何者かによって殺害される。状況からして女の子は妹を殺したのも少年院に入っていた男の子だと思う。
 しかし、その女の子は男の子が好きだった。中学を卒業して5年。スナックで2人は再会する。そして2人は結婚する。こんなことはありえないと誰でも思う。しかし、少年Aの手記本がでて、世の中は何でもありで、ありえないことがありえるように見えてくる。

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青山七恵   「やさしいため息」(河出文庫)

青山七恵   「やさしいため息」(河出文庫)
主人公は、4年間音信不通の弟に通勤電車のなかで偶然であう。そして、弟が主人公の住むアパートに居つく。
 この弟風太が変わっていて、いつもアパートに帰ってきた主人公にその日の一日何をしたのかを聞く。そしてそれを簡単な文にして毎日ノートにメモする。主人公は毎日同じような日を繰り返しているということ感じている。そして、弟のノートを読み、その変わり映えの無さを再確認させられ深いため息をつく。
 自分ほどつまらない生活を送っている女性はいないと思っているので、他人と会話しても話すことが何もないと強く思い込んでいる。だから、誰と話しても会話にならず、会話後の後悔の繰り返しにいやけがさし、人との付き合いを避けている。
 弟の友だち緑君に少し気が引かれデートをする。しかし全く会話が弾まない。面白いのは緑君が亀を飼っていて、それを見たいということで、緑君の家を訪ね、そのとき、亀を見ているのだが、全くかわいいとか面白いとか、亀についての会話をする場面がでてこない。
 主人公の勤める会社は人材派遣会社。だから、毎日人材登録にいろんな人が訪れる。普通そんな会社にいると、さっき来たひとは変だったとか面白かったとか話題にはことかかず、
いっぱい同僚や会社の人と話すことはあるはずなのに。

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朱川湊人   「わくらば追慕抄」(角川文庫)

朱川湊人   「わくらば追慕抄」(角川文庫)
「わくらば日記」の続編連作短編集。
主人公和歌子の姉、鈴音は他人の過去や記憶を再現することができる。この能力により幾つかの事件を解決する。第一作目で、御堂吹雪と言う鈴音と同じ記憶を再現できる女性が登場する。これは面白くなりそうと思ったら、登場するのは最初の作品だけ他の短編には全く登場せず、拍子抜けしてしまった。
 戦災孤児の幸男君が大事に持っていた万年筆。そこに「車○学○高校一○○○最優○」の文字が刻まれていて、○印のところが消えていて読めない。どこかの高校名だろうと思えるが・・・。これを鈴音が見事に埋める。
 この作品が勉強になる。時代は昭和30年代。当時の大学受験雑誌といえば旺文社の「蛍雪時代」。この蛍雪という言葉は中国の故事からきている。
 明かりを灯す油が買えないため、夏は蛍の灯りで、冬は雪あかりで勉強をする。ここまでは知っている人もいると思うが、夏は車錷を指し、冬は孫康のことを言っている。これは知らない。それで、これは高校名でなく予備校のことで、名前は車錷学園。
一斉模試最優秀と書かれていると鈴音が指摘する。
 少し無理すぎだけど知識は増えた。

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青山七恵   「あかりの湖畔」(中公文庫)

青山七恵   「あかりの湖畔」(中公文庫)
3姉妹の間の葛藤、恋愛模様も懸命に青山は書いている。
青山が絶好と思う舞台。温泉があり山がある湖畔。関東地方にあるらしい。青山にはその場所が頭にちゃんと出来上がっていただろうか。いくら読んでも、大事なその場所が想像できなかった。
 湖畔には、土産物屋や、旅館があるらしい。そこから山に入ってざわめきから離れたところに昔は民宿をしていたが、今は食堂になった主人公の住まいがある。更にその奥には、大きなホテルがある。山に登るロープウェイもある。しかし、湖のことが描かれない。白鳥ボートがあることくらい。結局この物語で湖の役割は何なのだろう。しかも、東京よりこの土地がいいという若者もいる。その魅力がわからない。
 田舎かなあと想像すると、駅のある街までバスで30分。バスはあちこち巡るから、マイカーだったら10分もかからないだろう。しかも、その街は結構都会のように思われる。何しろ大学受験のための予備校もあるのだから。
 湖畔の温泉を頭に浮かべようとすると、くらくらしてきた。

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岸恵子  「風が見ていた」(下)(新潮文庫)

岸恵子  「風が見ていた」(下)(新潮文庫)
1968年から69年にかけての時代は何だったのだろうか。私は高校生だったから、その風に直接巻き込まれはしなかったが、風は世界で吹き荒れ、その余波は確かに私の周囲でも感じることができた。
 パリ5月革命、人間の顔をした社会主義の実現を目指した「プラハの春」、アメリカでのキング牧師の暗殺とそれに伴う大暴動、東大安田講堂の陥落。
 国家権力に対する反逆。ベトナム戦争への反対。そういえば、誰が写したか忘れたが、幼い少女がナパーム弾に背中を撃たれ、火傷を負ったまま泣き叫ぶ写真が世界を震撼させ、それがパリ学生運動の過激さに火を注いだことを思い出す。
 それでも、あの世界的ムーブメントがなぜ起きたのかは今もってよくわからない。そしてすべてが敗北に終わり、その祭のあとに世界を覆った虚脱感。そんな虚脱感のなか、私は大学生になった。サルトルがいて、アナーキスト、トロッツキストなんて言葉が流行っていた。
 この作品では、時代のうねりや躍動、そして虚脱は全く感じることはできない。それは68年、69年に起きたことをファッションとして扱っているからだ。五木寛之の作品を想起させる。

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岸恵子   「風が見ていた」(上)(新潮文庫)

岸恵子   「風が見ていた」(上)(新潮文庫)
自伝的小説ということなので、ほぼ岸が経験してきたことが書かれていると思った。
岸は吉本公三郎監督にスカウトされ高校時代に映画デビューした。ところがこの小説では、フランス語の家庭教師来栖堯との最初のデートで、堯から初めての洋画に誘われ「美女と野獣」を見る。その後その「美女と野獣」の制作スタッフと出演俳優が「JAPAN」という映画製作で日本に来ていて、その出演者を探していた。堯がそのオーディションに映画を見た後、岸(この作品では衣子)を連れて行く。そこで監督が気に入り、岸が「JAPAN」に出演する。これが岸の俳優デビューとして描かれている。
 デビューきっかけがおとぎ話のよう。しかし、「美女と野獣」を演出したジャン コクトーに見いだされたことは事実。但し、これは岸がフランスに渡ってから。
 更に堯という渡仏前の恋人に実在モデルはいたのだろうか。この家庭教師がすごい。あまたの家庭教師依頼はすべて断る。結局家庭教師をしたのは岸と皇太子だけ。
 もし、モデルがいなくて岸が作り上げた人物としたら、凄すぎる。

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| 古本読書日記 | 18:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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アルスラーン戦記 「王子二人」&「落日悲歌」

文庫版の2巻と3巻。
表紙を書いているのは、十二国記と同じ人なんですね。
ダリューンは尚隆風のごつい男に、ナルサスは麒麟風の金持ちっぽい長髪男になっています。
インドがモデルになっているというシンドゥラ国の、痛覚の無い半野獣の大男のイラストが、なかなか怖いです。

まだエトワールは出てきません。
アルフリードという女性キャラが増えて、さっそくアニメの動画を確認しました。
ふむ。こういう系か。

3巻のあとがきを書いている人が、アンチヒーローのヒルメス様を推していますが、確かにいい感じです。
死にキャラかどうかは忘れましたが(あえて確認しない)、バナナフィッシュの月龍にも似た、プライドが高く粘着質の若様です。
親が悲惨な死に方をしているとか、親族を憎んでいるとか、同情すべきポイントがあるのも同じ。
荒川さんの3巻まででは、仮面を取ったコマで目を激しく吊り上げているため、あんまり美形とは思えない。
でもまぁ、顔が半分焼けてもそうでなくても変わらないほど醜かったら、話として盛り上がらないわな。
4巻に入れば、少年時代の姿も描かれているんだろう。たぶん。

あと、ギスカールもいいですね。

| 日記 | 08:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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角田光代 「おまえじゃなきゃだめなんだ」

初出一覧部分を見ると、色々な雑誌(媒体)に載せた作品を集めた文庫のようです。
ティファニーとかウィーンとかプラチナとか、お題があって書かれたものなんだと知って納得しました。
「ニューヨークでしか買えなかった指輪が、東京のお店で買えるようになったのね」と言いながら、おばあちゃんが大事そうに抱える包み紙は、ティファニーのものだったわけだ。
どっかで見たことのある(聞いたことのある)デザインの描写だとは思ったのですが。

そして、「山田うどん」。
河出書房「みんなの山田うどん」、架空のお店をテーマにしたアンソロジー本かと思ったら、実在する店でした。
ほう。埼玉県民のソウルフードとな……。
うどん屋にラーメンや餃子があるんだろうかと思い、お店のホームページを見たら、餃子や炒飯やむきエビのトマトソースパスタが出てきました。
なるほど。

全部いい話です。
上手くまとまりすぎて、最後の主人公の心情(まとめ)がきれいすぎて、もやっとしたものもありましたが。

女性ってやっぱりジュエリーが好きなんですかね? 
目を輝かせ、ガラスに顔をくっつけんばかりに見入るという描写なのですが、そんなものかなぁと。
昔はアクセサリーつきのチョコ菓子(ボンスター、みたいな名前だった)を買ってもらっていたし、宝石屋の広告(バブル期に園児だった)を切り抜いて遊んでいましたが、今は全然興味が無いです。
ちなみに、誕生石はエメラルドです。あんまり好きな色じゃない。

| 日記 | 19:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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朱川湊人  「都市伝説 セピア」(創元推理文庫)

朱川湊人  「都市伝説 セピア」(創元推理文庫)
朱川の処女作短編集。
コスプレの趣味が無いので、それがどういうことか全く知らなかった。コスプレは、ただ憧れている者の着ているコスチュームを着て楽しむことでは無いのだ。そのコスチュームをして対象の者になりきるのではなく、今の自分を脱出してその者になってしまうのだ。
 それが、一時期流行った都市伝説とそれを急激に拡散できるネットの世界とを結び付けできあがった作品が、オール読物推理小説新人賞を獲得し、朱川を世に飛び立たせた。この本に収録されている「フクロウ男」である。
 最初は遊びのつもりで主人公が、体は人間だが顔はフクロウである「フクロウ男」が出現したとネットに書き込む。そんな男はいないのだから、反応は皆無。しかし、ハンドルネームをかえすこしずつ具体的に話をこしらえてネットに書き込む。例えばフクロウ男が「ホウ ホウ ホウ」と鳴くと、「ホウ、ホウ、ホウ」とかえさないととんでもない被害を受ける。最悪なのはフクロウの天敵であるネズミの鳴き声「チュウ チュウ チュウ」と答えると、即座に殺されるなどと。
 すると、やっぱし現れる。「フクロウ男をみたことがある」という奴が。そうするとネットだけでは飽き足らなくなり、コスチュームを着て主人公はあちこちにでかける。そして、成りきりはどんどん嵩じる。最後は「チュウチュウチュウ」とふざけて答えた女の子を殺してしまう。でも、それはフクロウ男が殺したのであって、自分が殺したのではないと犯人は思う。

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森瑤子  「夜ごとの揺り籠、舟、あるいは戦場」(小学館文庫)

森瑤子  「夜ごとの揺り籠、舟、あるいは戦場」(小学館文庫)
こういう小説は、傑作なのかダメ作品なのか評価が私にはできない。
惑い、怒り、侮蔑、性行為に対するこだわりを、ありとあらゆる言葉を用いて大仰に表現する。
 主人公の私は小説家。夫との久しぶりの夫婦旅行でマレーシアに来ている。そこのホテルで夫から離別宣言を受ける。最初は表面的なことについての言い合いが始まって、そこから互いの性行為へのどろどろした非難が始まる。
 主人公の私は、次女の精神的病もあり、精神的不調のため、週一回セラピストのもとへ通っている。4歳のときに何かが起きたようで、それが重荷にのしかかっているのかもしれない。とにかくセラピストに人生を告白するが、途中から殆ど性行為の赤裸々な告白とその悩みを訴えるだけになっている。
 最も理解できないのは、私が日常生活でどんな変調があり、精神的に耐えられないことになっているかが何も描かれていないことである。だから、どんなに文学的表現を駆使しても、
根本的に何に悩み、追い込まれているのかが全くわからない。
 セラピストと対決する前提となる事象、現象を提示がなされないとどろどろした言葉の鎖だけを読まされているようで、疲労感だけが積み重なった。

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藤原正彦  「卑怯を映す鏡」(新潮文庫)

藤原正彦  「卑怯を映す鏡」(新潮文庫)
ある企業に正社員として就職できれば、その会社が最早倒産寸前でもならない限り、解雇、馘首されないことが、少し前まで普通であった。
 いつのころからか、年功序列制度はともかく、終身雇用は企業発展を阻害するような論調が喧伝されはじめ、リストラとか希望退職とか、セカンドライフへの挑戦などと言葉を変え、首切りは当たり前のこととなった。企業の経営が安定していたり、成長していても、首切り制度は企業内に温存することが当然のようになっている。
 この首切りの前提になるのが人事評価制度である。言い換えれば最近の流行り言葉である成果主義導入というやつだ。
 人は、どうにでも評価できる。ある視点でみれば、ダメに映るが、別の視点でみれば素晴らしいというのが人の本質である。つまり、成果、評価に客観的なものは人が人を評価している限りありえないのである。現在の成果主義、人事評価は完全に評価者の主観の積み上げにすぎない。
 主観の積み重ねにより「あなたにはわが社では提供できる仕事の場はありません」などと言われるのでは従業員はたまったものではない。

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松尾由美   「ハートブレイク・レストラン ふたたび」(光文社文庫)

松尾由美   「ハートブレイク・レストラン ふたたび」(光文社文庫)
くたびれたおじさんがやっているバーがある。そこへしばしばでかける女性刑事小椋。
お客が小椋刑事一人の時もあるし、たまにお客がいても数人。あまり流行っていないのである。
 ところがそのバーでロックグラスが有名な銘柄にすべて新調される。よく、こんなお客も来ないバーで新調するお金があるものだと刑事は思う。それが、更にタンブラー、ショットグラスまで新調される。これはおかしいなにかわけがある。それで、主人公のフリーライター寺坂さん、寺坂さんがよくいくファミレスの山田店長、それに名探偵でかつ幽霊のハル婆さんの推理が始まる。
 ここで読者は知るのだが「自転車操業詐欺」という詐欺があるのだそうだ。有名ブランド品を絶対手に入らない価格、例えば半値で販売との広告をネットにだす。お金を前払いでもらう。そして出荷までには1週間ほどかかるという。何人かからお金をもらう。そして通常価格で業者は仕入れ一人のお客に半値で売る。半値で買ったお客がうれしくなって、あちこちにしゃべる。そうするともっとたくさんお客ができ金がはいる。そして、それが頂点に達したと思うときにお金をもってドロンする。
 この物語はそういう結論にはならなかったが、詐欺師とは色んな方法を編み出すものだと感心した。

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アンソロジー   「Story Seller 3」(新潮文庫)

アンソロジー   「Story Seller 3」(新潮文庫)
 沢木耕太郎がカウンターで寿司を初めてつまんだのは20代のときだ。
編集者に連れられて行った神田の「鶴八」。私は神田「鶴八」は知らないが、分店が新橋駅前のビルにあることは知っていた。東京の寿司の名店紹介の本によってだ。
 「すきやばし次郎」「水谷」「美家古」と並んで「鶴八」もあった。新橋の近くには勤めていた会社の取引先があったので、東京出張のときには「鶴八」で寿司をたべてみたいといつも思っていた。
 そしてある昼時、「鶴八」に入った。当時、私の住んでいた田舎の街では、高くても特上握りが2000円。並は900円だったので、いかに老舗といえ、5000円もあれば食べられるだろうと思い、お茶をだしてくれた小僧さんにそっと尋ねたところ、昼は安くなっていて、おまかせで1万円との答え。ショックで「また来ます」と言ってあわてて飛び出たことを思い出す。
 ボーナスをもらって間もないころ、出張があり、今日こそはと一万円をにぎりしめ「鶴八」に行った。昼時は混みそうだったので、11時30分に行ったところ店の開店は12時からとのこと。寿司を頭に浮かべてよだれが垂れるほど空腹を覚えていた。我慢しきなくて近くの大衆食堂で煮魚定食を食べてしまった。
 それから全く寿司の名店とは縁が切れた。カウンターで食べる寿司は我が家の近く。心優しい同い年の大将が握ってくれる。居心地は実によいが、正直寿司はあまりおいしくない。

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三浦哲郎  「モーツァルト荘」(新潮文庫)

三浦哲郎  「モーツァルト荘」(新潮文庫)
生まれたばかりの子供を置き去りにしたり、クリスマスイヴにおばけがでたり、ロックンロールで踊り狂うカップルがあったり、四季折々に起きるペンション「モーツァルト荘」で繰り広げられる出来事を連作短編で描く。
 今はどうなのだろう。ペンションというのは、相変わらず隆盛をほこっているのだろうか。私が若い頃は、とにかくペンションブームが起き、脱サラをして、ペンション経営をする人たちが続出した。
 ペンションは入れ代わり立ち代わり新しい客がつくわけではないのだから、この作品のようにリピーターによって成り立つのだろう。たいがいのペンションは主人の押し出しが強い。この作品のようにクラシック、モーツァルト フェチとか、野草や山菜とり、バードウォッチングや、釣りなどに一家言あり、それを押し出して、客にかぶせようとする。
 そういう主人と趣味や気があえば、リピーターになるのだろう。雰囲気や癒しでは経営はできない」。
 その意味で、この作品の中心であるペンションはリピーターで持っていることはわかるが、どうしてまたここに来たいと思わせるのか、全くわからない。魅力を感じさせない。「~荘」などと「荘」がつくペンションも貸家みたいでよくない。

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小川洋子 「最果てアーケード」

爺やの感想はこちら

いい短編集です。
どこの時代なのか(なんとなく古そう)、東京なのか地方なのか、主人公が生身なのか幻なのか、わからないまま話が進む。
小川さんの本はけっこうそんな感じですがね。
バレーシューズを駅のベンチに落とす少女とか、マニアックな漢字ばかり使うタイプ事務所とか、手足を忘れる病気とか、耳の中にあるばねを取り出すとか、なんともへんてこりん。
図書館で貸し出し用のプラスチックカードを作るという、「現実」の「こちらの世界」に接するような場面が現れ、図書館の司書が主人公に電話してもつながらなかったということが明らかにされると、なんだかヒヤッとしてしまう。
切り離された場所で、彼らのささやかな生活が営まれているという印象。

爺やが気に入っていた「百科辞典少女」は、死んだ娘のために(遺志をついで?)父親が百科事典を書き写す話です。Rちゃんが主人公相手にネタバレするくだりはおもしろかったです。
私は、どれかひとつ選ぶなら「輪っか屋」ですね。死を持ち出してしんみりさせる話は苦手なので。

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恋愛小説アンソロジー「ただならぬ午睡」 江國香織編

8編入っています。

吉行淳之介「謎」
恋愛小説なのかどうかわかりませんが、奇妙でなかなかおもしろいです。
そういえば、「味の素」が我が家の台所で使われている光景を見たことがない。あることはある・・・・・かな。
小道具としていいですね。

河野多恵子「朱験」
処女の肌につけると、洗っても落ちない色素。処女でなくなると、落ちる。
色素の材料をうまく謎に包んでいます。なんでしょうね。ムカデとかナメクジとかだろうか。

安西水丸「ホテル・ダンディライオン」
異国の地で日本人が金髪のカノジョを作るという話で、あんまり明るい雰囲気のものは読んだことがないような気がする。
なんともどんよりした話です。
私は、背泳ぎも平泳ぎもめちゃくちゃですが、クロールはできます。十年前はできました。海では泳げませんがね。

江國香織「十日間の死」
爺やが以前、彼女の本に感想を書いていました。
私も、このフランスを舞台にした恋に泣く女の子のおしゃれな話は、すごく遠いものに感じます。

佐藤正午「夏の情婦」
場面のつながりが、ちょっとわかりにくい話でした。
主人公が己の分析ばかりしているというか、斜めを向いているというか、恋愛小説っぽくはないですね。

村上龍「シャトーマルゴー」
「香りは音楽と違って映像を喚起することがほとんどなく、直接内臓に作用する。だからエロティックだ」とのことです。
脳の、記憶をつかさどる部分と嗅覚をつかさどる部分が近く、においが記憶を引き出すことがある~みたいな話は聞いたことがありますが、においをかいで具体的な映像を浮かべているかといわれると難しいですね。

平林たい子「私は生きる」
破滅のにおいがします。痛いです。
寝たきりの妻を捨てて夫が逃げたり、どっちかが死んでしまったり、そういう結末のほうがうれしかった。

チェーホフ「かわいい女」
B'zが「恋する女は簡単に好きな男の色に染まるというけれど」と歌いましたが、ここまで男に合わせ、しかもそれを幸福と感じることのできる女性は、なかなかいないんじゃないかなと。
そして、「母性愛を注ぐ相手のできることが一番幸せ」みたいな流れです。しかし、この話は変わった締め方ですね。ロシア流?

このアンソロジーシリーズですが、唯川恵さんが選んだものと、川上弘美さんが選んだものも、我が家にあります。
3冊のうち、川上さんのやつに入っている「花のお遍路」が一番印象的でした。

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沢木耕太郎   「ペーパーナイフ」(文春文庫)

沢木耕太郎   「ペーパーナイフ」(文春文庫)
北杜夫の出世作は「ドクトルマンボウ航海記」である。北杜夫の自分を揶揄するユーモアの数々が満載されている。しかし、この作品は、旅する北が常に中心に存在し、見るもの、出くわすものを吸収しながら常に自らの感情を引き出すところにその面白さがある。
 海外を旅する人や、海外に住む人たちの作品で面白いのは、旅や海外暮らしで経験したことのないことに遭遇しながら、それに揺さぶられ、うろたえ、彷徨し、自分や家族を見つめなおすところにある。
 つまらない作品は、とにかく海外を解釈する作品である。またその逆で、海外の解釈により日本を解釈する作品である。そして、世の中の殆どの海外暮らし海外旅行の作品が解釈学になっている。
 強く心に訴える作家、須賀敦子、木村治美、近藤紘一には、海外というフィルターを通して、自らを深く掘り下げ、見つめなおすことをしている。解釈はない。

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三浦哲郎   「愁月記」(新潮文庫)

三浦哲郎   「愁月記」(新潮文庫)
背骨というか、土台ががっちりしている短編小説集。久しぶりに落ち着いた作品を味わった。
ママでなく母、パパでなく父、ばあちゃんでなく祖母、ねえちゃんでなく姉と表現される小説。東京と青森。離れて暮らしている。普段の交流はほとんどない。それでも、何かで会えば、姉弟になり、叔母になる。
今の作家が描けば、ぐらぐら揺れて土台からこわれそうになる、母の死や愛犬の死が、少しはざわめくが、土台が頑丈ゆえ、少しの漣がたつだけ。
たたずまいが実に静かで落ち着きがある。
それにしても番傘は今はどこへいけば手に入れることができるだろう。この小説では浅草に専門店を偶然みつけ手に入れる。昭和60年ごろ、値段は1万2千円。今ではもっとするだろう。油紙の匂いと、たえまなく雨音をはじく音がなつかしい。
そう言えば、昔の家はトタン屋根の家が多かった。トタン屋根の雨音をはじく音も大きかった。

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沢木耕太郎   「天涯4 砂は誘い 塔は叫ぶ」(集英社文庫)

沢木耕太郎   「天涯4 砂は誘い 塔は叫ぶ」(集英社文庫)
昨夜「日本対シンガポール」のワールドカップ予選の試合が埼玉スタジアムであった。
シンガポールという小国で遙か格下相手にもかかわらず、埼玉スタジアムは超満員。おそらく6万を超える観衆がいたと思う。
 日本は南米諸国やヨーロッパ諸国、アフリカ諸国に比し、サッカー後進国であり、サッカーではそれらの国々とはまだまだ差があるとよく言われる。
 しかし、今や日本ではJ3までサッカーリーグがあるし、野球より圧倒的にサッカー少年がいる。しかも、サッカーと地域が結びついており、J3の試合でも万の観衆がはいるチームもある。今や日本は世界有数のサッカー王国である。また、連日のようにマスコミでは海外チームで活躍する元Jリーガーの報道がなされる。
 並み居るスポンサーがサッカーにつき、日本で一番お金が潤沢で、国際マッチもたくさんして、ゴールデンアワーで放送され、これだけ日本中で大騒ぎして応援しているのに、どうしてまだ世界順位で50位あたりにいるのだろうか。コストパフォーマンスが悪すぎる。

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三浦哲郎   「愛しい人」(新潮文庫)

三浦哲郎   「愛しい人」(新潮文庫)
家族旅行で来ていた温泉で、主人公の清里は、吊り橋でうずくまって歩けなくなった2人の女性の旅行者に遭遇する。そのうちの一人が偶然にも会社の社員で、連れは彼女の友だちのスタイリストの留美。この留美を助けてやることで、清里と留美の不倫の恋が始まる。
 この作品3人称で描かれるが、ベースは清里の一人称での展開。不思議なのは、清里にとって留美は、やせぎすでそれほど魅力的には思えない表現が続くのに、安定した家族があり、安定した会社生活があるのに、清里が留美との恋にはまりこんでしまうところ。留美の人物造形に作者三浦は完全に失敗している。
 それから当然のごとく、道ならぬ恋ゆえ、いろんな出来事騒動が起き、ちょっと考えられないような衝動的な行動もある。
 変わっているのは、これはどうなるのだと思って読むのだが、どの事件、衝動的行動も途中でぶつ切れ。「それから3か月たって」などという文章ではぐかされる。
 いらいらばかりの小説である。

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沢木耕太郎  「世界は使われなかった人生であふれている」(幻冬舎文庫)

沢木耕太郎  「世界は使われなかった人生であふれている」(幻冬舎文庫)
沢木の父は、沢木が小学生のころ、どこかへでかけて土産を買ってくると、それがいつも本でそれも文学作品だったとどこかで書いていた。もちろん、私の父も本を手土産に買ってくることはあるが、たいていは付録がたくさんついた「少年」や「冒険王」などの漫画雑誌だった。
 それで沢木が小学生のときに読んだ本で最も感動した作品が志賀直哉の「真鶴」。小学生で志賀直哉、それも「真鶴」か、とため息しかでてこない
 更に生まれて初めて観た映画が「遠い太鼓」、それが4歳のときでとても感動したそうだ。
沢木は大学を卒業。大手会社に就職したが、出社一日目で退職願をだした。こんな感受性を育てた沢木が、普通のサラリーマン人生など歩めるはずもない。
 この作品のタイトルのような「使われなかった人生」は沢木には無かったのではないか。自らの心情、信念を最大限尊重した人生を歩んでいると思う。
 私は実に「使われなかった人生」をいくつか持ち、平凡極まるサラリーマン人生を送った。それでも、本読みだけは捨てなかった。
 沢木がこの作品で感動した映画について書いている。そのなかで「日の名残り」「ダンス ウィズ ウルヴス」「運動靴と赤い金魚」、映画は知らないが、本は読んでいる。なんとなくホっとした。

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桂文珍  「落語的学問のすすめ」 (新潮文庫)

桂文珍  「落語的学問のすすめ」 (新潮文庫)
文珍は先代桂小文枝の3番目の弟子。一番目が今は小文枝を継いでいる前の桂三枝。二番目が桂きん枝。その後が文珍。
 三枝は私が高校の頃、毎日放送の深夜番組「ヤングタウン」で飛び出した。三枝の番組の始まる時のキャッチフレーズを今でも思い出す。
 「ひとりぼっちでいるときのあなたに灯りを点す、便所の電球みたいな三枝でーす。」
高校の修学旅行のとき、はがきで応募して「ヤングタウン」の公開録音放送に行ったことをなつかしく思い出す。文珍はこの「ヤングタウン」で三枝の補助のようなことをしていた。
 この作品によると、京都の寺町商店街にあった京都花月はなくなったようなことが書かれている。
 京都花月にも修学旅行のとき行った。文珍は、亡くなった小染、八方、きん糸と組んで「ザ
パンダ」を結成し、落語を配役にわけて、演じていた。それを京都花月でみた。
 三枝は少し知性が前に出て、目線が高く落語は面白くなかった。そして三枝以上に面白くなかったのが、三枝の師匠である桂小文枝。
 京都花月はお客が殆どいなくて、我々高校3人組をいれてたった5人。初めて芸能人をみるということで、3人はかぶりつきで見た。
 小文枝がやたら長い「三十石」を演じた。あまりのつまらなさに、一緒にきていたK君がでかいいびきをかいて寝てしまった。小文枝がいやな顔をしながら、我慢して演じていた。そのとき小平君が目覚め、小文枝を指さし大声で「まだこのおっさんやってるの」
と言った。小文枝は座布団をひっくり返し、ぷっと頬をふくらまし、舞台のそでに引っ込んだ。ごめんなさい、小文枝さま。

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| 古本読書日記 | 17:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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沢木耕太郎  「冠」(朝日文庫)

沢木耕太郎  「冠」(朝日文庫)
アトランタオリンピックのルポである。阿川佐和子が解説でこの作品を絶賛している。
何にでも顔をだす八方美人キャスターだ。
しかし、私にはこの作品は沢木のなかでもできの良くない作品だと思っている。まず、沢木はテーマを決め、それに向って飽くなき追及、調査、思考、分析を繰り返し作品を創造する。しかしこの作品は雑誌社に依頼され、テーマ、目的なく書かれた作品である。更に、FIFAと同様、極端に商業化され、腐敗しきったIOCとオリンピックに嫌気がさし、未来は無いと断じている沢木の想いがそこかしこに顔をだすし、取材、ルポに全く情熱を感じさせないからである。
 どこかで読んだが、IOCの会長や幹部たちは、無給でボランティアだが、彼らは、4つ星ホテルのスウィートルームを使うどころか、住居にしている人もいるそうだ。使いきれないお金の海にアップアップしているのである。
 この作品でもびっくりしたのだが、開会式、閉会式の入場料が630ドル。これは余程
かぶりつきのスーパーシートだと思ったら、最も会場の端のてっぺんの席だったそうだ。水泳も150ドルだった。
 驚くのは、閉会式がアメリカの独占放映権をもつNBCの要請に応えて、CMタイムに進行がポチリ、ポチリとストップすること。
 サマランチがIOC会長になり、強引に自分の地元のバルセロナでオリンピックを強行させた。そして私はひねくれやになり、オリンピックに関心がなくなり、テレビでみることは無くなった。

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| 古本読書日記 | 19:05 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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桂文珍   「日本のサラリーマン」(PHP文庫)

桂文珍   「日本のサラリーマン」(PHP文庫)
最近テレビは4Kとか8Kなどと言われ競争している。Kは解像度のことを言い、キロを表しているらしい。これがどういうことかは全くわからないが。
 しかしサラリーマン、労働者にとってKとはドキっとするいやな言葉だ。最初は3Kという言葉でKが現れた。「きつい、きたない、きけん」である。それが転じて「給料が安い、休暇が少ない、かっこうが悪い」。Kは働く者にとって悪魔のような記号である。
 そのうち会社で村八分にされる人にたいするレッテル。「暗い、臭い、汚い」がでて、
 これらをとりまとめて9Kである。
もうきみはいらないから休憩(9K)でもしとれということになる。そして思う。絶対Kがつくテレビは購入しないと決意を新たにする自分が切ない。

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| 古本読書日記 | 18:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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姫野カオルコ 「ああ、懐かしの少女漫画」

タイトルのとおり、姫野さんが夢中になって読んだ少女マンガが紹介されています。
彼女は私の母親と同年代。当時の雑誌付録の写真が巻頭を飾っています。
レターセットとか紙の着せ替え人形とか、半世紀近く保存していたという姫野さんはすごいですね。(母は捨てたそうです)
なんでも鑑定団で、「興味がなかったからしまっておいた。だから今になって価値が出た」みたいなおもちゃが出てくるけども、彼女はたぶん本当に大事にしたんでしょうね。

紹介されているすべての作品のカットが入っているわけではないので、時々ネットで確認しました。
その過程で、当時の「なかよし」の表紙画像も見たのですが、今の目が落ちそうな女の子にキラキラが舞っている表紙とは違い、写真でした。
「皇室に関する特集もあって、ナルちゃん(現皇太子)と美智子様のことが載っていた」とあって、「少女マンガ雑誌に?女性週刊誌じゃなくて?」と思ったのですが、なんとなく納得してしまった。
そして、ナルヒトという名前であることを検索して初めて知った。

帯には、「知らなくても「懐かしい」、驚異のノスタルジックエッセイ」とあります。うん。そんな感じ。
一条ゆかりとか大和和紀とか、知っている名前が出てくると楽しい。でも、私が知っている絵よりも当然古い。

時々語られる姫野さんの家庭環境、親の変人ぶり、子供時代のゆがみっぷりが印象的です。
「書くことでしか消化できないモノを抱えて成長した、作家になるしかなかった人」なんて感じるほど。
処女であることに強いコンプレックスを抱き、ドライバーで自分の処女膜を破るヒロインが出てくる小説を書いたのも、姫野さんだった気がする。
そういえば、高校生のとき吉行淳之介に直接電話し、「今度の作品はおもしろくなかったです」なんてずばずば話していたというエピソードが別のエッセイにありました。
ぶっとんだ女性ですね。

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沢木耕太郎  「貧乏だけど贅沢」(文春文庫)

沢木耕太郎  「貧乏だけど贅沢」(文春文庫)
信頼し合える人、話していて胸襟が開ける人物同士が、飾らず会話をするとこうなるのかという対談に出会った。沢木耕太郎と高倉健の素晴らしい対談である。
 渥美清が亡くなっても、高倉健が亡くなっても、しゃしゃりでてくるのは監督の山田洋次。
彼の弔辞や思い出話を聞いていると、渥美、高倉と山田洋次の間に偏見かもしれないが、大きなすきま風が吹いていたように感じてならない。山田洋次のこれ以上ないような思い込みすぎの話はどこか浮ついている。
 高倉健は鶴田浩二とのコンビで東映任侠シリーズのスターとなった。多いときは年間15本も任侠映画をこのコンビで撮っていた。巷間われていることだが、これでは生涯ヤクザを演じることになってしまうと危機感を覚えた高倉が、独立プロをつくり、任侠から脱出、「新幹線大爆破」を撮る。それからは年一作とか数年に一作ベースで芸術、文学を映画化した作品に絞り出演するようになる。「八甲田山」「幸せの黄色いハンカチ」「駅」「ポッポ屋」「南極物語」など。
 そういった芸術路線にひたはしっているとき、沢木が聞く。「今どんな役をやってみたか?」と。高倉健が答える。「ヤクザです。もしくはテキヤです。」と。
 この対談を読むとその高倉の想いがわかる。そしてその通りだよなと感じる。
山田洋次などにより床の間に飾られてしまった健さん。そんな不自由で身動きとれない健さんに、死ぬ前に頸木から解放されて、目いっぱいやくざを演じてほしかった..。この対談を読んでしみじみ思った。

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桂文珍  「文珍の学問のすすめ」(PHP文庫)

桂文珍  「文珍の学問のすすめ」(PHP文庫)
私の小さい頃はラジオもテレビも漫才、落語は寄席で演じた録音、録画番組だった。もちろん演出家がいて、何をどの順番でやるか決めていたとは思うが、原則は寄席の伝統を遵守して番組は構成されていた。
 この文珍の講義のなかでも説明されているが、演目、出演する芸人にそれぞれの役割が割当られる。まずカブリ、これはお客を鷲掴みにする。お客の気分をつかむ。だから、少し派手で力のある演者がでる。次にシバリ。さらっと見せる芸。マジックとか音曲漫談、物まねなんかが配される。そしてモタレ。これが難しいのだが、最後のトリが盛り上がり引き立つような演目があり、そしてトリを迎える。それぞれの演者が、自らの役割を認識して、一つのストーリーが出来上がるように演じる。
 この伝統的流れが、失敗することもあるが、聞き手にとっては実に心地よい。
 今の演芸番組は、昔の起承転結の構成がなく、最初から最後まで、テンションをあげ続け、
大声と大袈裟な動作ばかりで、疲れるばかり。
 緊張、弛緩、強い、弱い。速い、遅いが上手く組み合わされて芸も芸人も生きる。今のようではまさに芸人は育つことなく使い捨てになってしまう。

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| 日記 | 18:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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アルスラーン戦記(1)王都炎上  田中芳樹

荒川さんの漫画がいい感じだったので、原作を購入してみました。
まだ完結していないというし、2巻以降を買うかどうかは未定です。
「漫画を待てない。どうしても先を知りたい」というほどでもない。wikiを先に読んじゃって、誰が死ぬかを知ってしまったという(-_-;)

漫画3巻分が、文庫1冊分。
結構原作に忠実です。セリフは多少、自然な感じにしてあると思いますが。「~でござる」は違和感がある。
エトワールはまだ出てきません。
漫画3巻では彼(一応)がイアルダボート教の教典をアルスラーンにくれるシーンがあります。
原作でも、アルスラーンが征服者の宗教信条について考えるようなシーンがあるのかと思ったのですが、荒川さんのアレンジだったらしい。
あと、ファランギースの初登場が男装ということになっていますが、荒川さんの絵は露出度高めです。

漫画に比べてエラムの影が薄いですね。これから活躍するかもしれない。

| 日記 | 16:49 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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沢木耕太郎  「危機の宰相」(魁星出版)

沢木耕太郎  「危機の宰相」(魁星出版)
最近は高度成長時代を、あの時代は良かった。右肩上がりが続く、誰がリーダーをやっても成功した時代だった。こんな風に冷ややかに総括。或は、日本人の持つ努力、勤勉さが高度成長を実現させたと、日本人全体への評価につなげる論が殆ど。
 しかし本当にそうだっただろうか。
戦後から昭和34年くらいまでは、とにかく資本家、企業家と労働側の対立は激しかった。ストライキは日常の風景だった。総評は過激だった。そこに安保闘争が加わり、反体制の運動は頂点に達し、明日にでも革命がおきそうな雰囲気になった。経済学ではマルクス経済学が最も学ばれた。
 もし、その時、社会党や共産党が政権を担っていたら、本当に高経済成長はあっただろうか。
当時、日本では官僚や経済学者の間では、日本経済二重構造論が喧伝されていた。資本主義と前近代的経済が混在していて、まず前近代経済構造を改革しないと、経済発展にはつながらないという考えがある。或は、総需要と供給を均衡させバランスのとれた経済運営をする。マルクス経済学を別にすれば、この2つの論が主流であった。
 下村治は孤高とした経済学者であった。過去の統計を調べ上げ、日本は高度経済を実現する基礎はできている。需要より供給を多くすれば、需要はそれにつれ拡大するはずであると。
 この孤高の理論に、岸首相の後の首相池田勇人は乗っかった。
 そして高度成長を実現させた」。
 そういう意味では池田はもっと評価されるべき宰相である。

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桂文珍   「日本の歴史人物高座」(PHP文庫)

桂文珍   「日本の歴史人物高座」(PHP文庫)
世の中には、経済学者、経済評論家、エコノミスト、呼び名はどうであれ、経済で飯を食べている人がはいてすてるほどいる。学者、評論家だから、言いたい放題、無責任に予測、政策を言う。まあこれが、あたった試しはない。
 過去の歴史人物をみて、やっぱり名将というのは、経済を成長させたり、新しい経済運営やシステムを作った人たちだと思う。
 平清盛は源氏と比較して、悪人のように言われているが、平家が没落したのは清盛が没した後で、清盛は死ぬ間際絶頂期にあった。清盛が凄いのは、神戸港を創り、中国との交易を盛んにしたこと。これにより経済が発展した。
 信長は楽市楽座、秀吉は堺を自由都市にして、経済を活性化した。彼らの前までは、農本主義だった。百姓が飯の種の全てで、彼らを土地に縛り付けその年貢で武士は生活した。
 信玄は農民を大事にした。彼の兵は農民だった。だから、農繁期には戦をしなかった。
そこが、信長、秀吉に比べ大きく劣るところだ。人間、武将としては良かったが、新しい経済を起こせなかった。

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