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2015年04月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年06月

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津村節子  「女の居場所」(集英社文庫)

津村節子  「女の居場所」(集英社文庫)
エッセイ集。
小学校のころ、今はどうかしらないが、月下美人の花が園芸で流行ったときがあった。確か教科書にも月下美人が一年にたった一日、それも夜にしか咲かない、その儚さについての散文が載っていた。それは、子供心にはめずらしく、大変興味がわき、どうしても月下美人の咲いて散るところを見たくなった。
 そう思っていろいろ近くの家の子に聞くと、あっちでも、こっちでも月下美人を育てている家があることを知った。そして、それぞれの家が、花が咲く日になると、まわりの家の人を呼んでいることも知った。
 月下美人が大輪の花を咲かせるのは、真夜中、だいたい12時過ぎである。咲き始めるまでは、宴会をして、咲き始めるとカメラを片手に客人が集まる。
 私もあちこちの家に行った。しかし、12時まで起きていることができない。で、結局白い大輪は写真でしか見ることはできなかった。しかし、あの強い芳香は忘れられない。
 津村のエッセイを読んで、急に月下美人の花を見たくなった。今でもたくさんの方が育てているのだろうか。

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篠田節子   「廃院のミカエル」(集英社文庫)

篠田節子   「廃院のミカエル」(集英社文庫)
人間が地球上に現れ500万年から600万年が過ぎているといわれている。
その500万年の間に科学は地球、自然についてどれだけの知識を獲得できたのであろうか。多分1000分の一も獲得できていないだろう。ということは、ものすごい量の不可思議に囲まれ我々は生きているのである。それが、神秘、恐怖、不気味につながる。
 東日本大震災が起こる。甚大な被害を受ける。それは、人間が傲慢になったことに対する地球、自然の警告でるというようなことが謂れ、何となくそんな気もしてくる。
 なぜ、震災が起こるか、それがいつ起こるか予測できないため、想像、妄想、観念が跋扈する。
 本来は、科学がそれを克服すべきなのであるが、なにしろ、500万年かけても、自然について殆ど解明できていない、そんな科学を待っていることはできない。
 そこにすべてを解決するものとして神が登場する。恐怖の世界が登場すると、悪魔のたたりだと考える。神を冒涜することをするから悪魔が現れ、神自らが人間に鉄槌をくだすのだと安直な説明に人間は納得しようとする。

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津村節子   「光の海」(文春文庫)

津村節子   「光の海」(文春文庫)
最近は、もちろん親が2世帯住宅を用意して、子供夫婦と一緒に住む家族もあるが、親と子供が分かれて住む家族も多い。それも、子供が遠くに住んでいるのではなく、近くに住んでいても同居しない。とにかく、親の老後の面倒を避けたいのである。特に嫁さんが姑と同居するのを嫌う。
 それにしても、男はよくない。自分中心にしか物事を考えられない。
老夫婦だけの生活となる。夫は同じように妻が年を取り、それにつれ体が夫と同じように弱くなっていることがわからない。いつまでも、炊事、洗濯、掃除をはじめ、身の回りの世話はすべてしてくれるものと思い込んでいる。時に、高熱をだして寝込んでも、「飯はどうするんだ。」と言い、無理やり弱った妻を起こし飯の支度を命ずる。
 「あなたがいるからいつまでも楽にならない。」などと言うと
 「そうだろう。俺がお前を支えているのだ。だからお前は元気でいられるのだ。」
と、全く無神経な答えが返ってくる。
 男というものはどうしようもない。

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道尾秀介  「カササギたちの四季」(光文社文庫)

道尾秀介  「カササギたちの四季」(光文社文庫)
人間はばれるとわかっていても時に嘘をつく。その嘘がばれると、落ち込み嫌悪感に襲われたり、人間関係が軋んだりする。
 この短編集は嘘がベースになっている。そして、自分こそ名探偵と信じ込んでいるリサイクルショップ店長のその名前も「かささぎ」が、この嘘をまともに信じ、起きた事件の推理をして、すべて解決と胸を張る。その姿に社員の菜美が憧れ、眼が星になる。
 それを冴えない副店長の主人公が裏にまわり、嘘をついた人も、胸を張っている自信家の
「かささぎ」君も傷つかないように事件を解決する。
 心優しい作品なのである。

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小杉健治   「灰の男」(講談社文庫)

小杉健治   「灰の男」(講談社文庫)
小杉が書きたかったテーマで、小杉にとっての最大の力作だと思う。東京のあちこちで、放火事件が起こる。3月10日に起きた放火事件では、たまたま現場で写した写真に、狂ったように叫んでいる80歳の男が映っていた。深井という男で、彼にアリバイもなく、事情を警察で聞くと、自分が全ての火災で放火したと自供する。
 よくよく調べるとこの放火事件が起きているのは、すべて東京に空襲が行われた日である。深井は東京の空襲に強い怒りがあるようであある。
 本人の自供もあり、公判でも罪を認めているので、すんなりと裁判は進むとおもわれたのだが、深井は東京大空襲が行われた日は3月9日を主張。史実となっている3月10日では無いと言う。そうなれば、3月10日の放火は、つじつまが合わなくなり、深井が放火はしていないのではということになる。
 ここから、放火事件の様相がおかしくなり、糸がもつれだす。
小杉が、想像力だけで、東京大空襲に係る秘密を創り上げたというのなら、これは驚嘆に値する。それとも、丹念に資料をひもといていったところ真相らしきものにぶつかったのか。
かなり大がかりなミステリーである。
 残念なのは、物語の構成がよくない。というより、小杉は戦争へつきすすむ軍国主義体制や、大空襲の悲劇を伝えねばということがあったのだろう、その部分が長く、リアリティもなく冗長である。折角、面白い視点を発見したのに、ボケてしまっている。

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篠田節子   「逃避行」(光文社文庫)

篠田節子   「逃避行」(光文社文庫)
会社がすべてという男がいる。家族は二の次。主人公は会社のため粉骨砕身がんばった。会社での人間関係のほうが家族より濃い。会社お要請に従い、サウジアラビア、フィリピン、インドネシアを飛び回った。その結果50歳のとき、「今の会社には君の働き場所は無い」とのひとことでリストラされる。
 好き放題とは言わないが、家族をないがしろにしてきて、挙げ句に馘首にあった男に家族のなかの居場所は無い。家族に囲まれ、冷たい孤独にさいなまれる。だから、家族を捨てて山奥で陶芸を始める。最初の半年は、会社の人間が訪ねてくる。しかし、その後は誰も来ない。
 夫が浮気をしていることもわかっている。1000万円以上年収があるのに、家には30%しかお金をいれてくれない。汲々の生活。飾り気もなくただ老いてゆく自分をみて、娘たちも自分を遠ざける。気が付けば、一人で苦労し、何もわがままできず、老いてゆく。こんな家では本当に孤独である。色んな経過があったが、山奥の老屋に唯一の家族愛犬とともに住みつく。
 山奥からは、スーパーやコンビニにゆくだけでも50分も歩かねばならない。ここも淋しく孤独の場所だ。
 この男、女にとって家族と過ごしたほうがよかったのか、家族と離れた山奥ですごしたほうが良かったのか。現在、だれにでも直面することがありそうな問題である。

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津村節子   「春のかけら」(集英社文庫)

津村節子   「春のかけら」(集英社文庫)
モラトリアムとか自分探しとか言っているが、社会の底辺で結びつく若い男女、その根底はとにかく何もしなくてベターっと、ぐうたらしていたいということがある。でも、ぐうたらでは生きていけない。お金を稼がねばならない。で、安直に、女の子が娼婦になる。最初は多少抵抗があるが、慣れればぐうたらにはもってこいの金稼ぎになる。
 そんな生活をしていた主人公の女の子。そのヒモの男が突然心筋梗塞で死ぬ。
そこから、このぐうたら女の子が4人の異なった男性と旅行に行ったり、マンションで住んだりする。でも娼婦としてのつきあいは一人だけ。男が若い女の子と一緒にいたいのは、娼婦としてだけではない。色んな思い、形が世の中にはある。
 しかしいつも存在するこんなばかな男。
「俺にはおまえしかいない。お前が必要なんだ。愛しているんだ。明日にでも結婚してくれよ。」と出会ったその日か次の機会に大声で叫ぶ奴。

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| 古本読書日記 | 05:51 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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桜木紫乃 「ラブレス」

ぐいぐい引き込まれ、一気に読めました。
「面白い」と言っちゃっていいかどうかは迷いますね・・・。
あとがきによると作者としては、「『極貧小説』と言われるけれど、私は普通にこれを書いたつもり」なのだそうな。
でも、当たり前のように大学まで行かせてもらったアラサーの感覚からすれば、十分に貧しくヒサンなにおいがする話です。
「これがお気に入りです。似た小説を紹介してください」って、ドロドロの話しか浮かばない。
「新月譚」とか「椅子の上の猫」とかもありかな・・・いや、でも、「ラブレス」はもっと生臭い。

最後に出てくる老人が、登場人物や読者の予想を裏切ってくれるのはいいですね。
あとがきで書かれている通り、大河小説・年代記小説のようでいてちょっと雰囲気が違うし、うまくまとまっています。
事情のある人間ばかり出てきて重いし、あんまり続けて読みたいとは思えないですが(ーー;)

ちなみに、北海道は行ったことがありません。
動物のお医者さん(佐々木倫子)とか、百姓貴族(荒川弘)とか、羆嵐とか、そんなイメージです。

| 日記 | 20:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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三浦しをん   「ふむふむ」(新潮文庫)

三浦しをん   「ふむふむ」(新潮文庫)
当然だが、最近は職人という人が極端に少なくなった。子供のころには、衣服も靴も包丁や草刈ガマも、直してずっと使うことが当たり前。だから、どこにも新品も売るが修理で家計を支えている店が多かった。そういえば建具屋も少なくなったし、寿司屋なども継ぐ人がいいなくなり、地方ではどんどん消えてゆく。
 職人の世界は厳しい徒弟制度で、技術を教えてもらえるまで下働きが何年も続くというのが常識だと思っていた。
 しかし、今はちょっと教えを請うと、職人さんは嬉しくなって、覚えきれないほど一度にたくさん教えてくれるらしい。とにかく、教えたくてしょうがないらしい。
 この作品に登場する靴作り職人の名人。で靴修理、靴作り以外のときは何をしているのか。たった一言「競馬」。いいねえ、これが職人よと思わせる。
 女子重量挙げの松本選手のインタビューが掲載されている。高校のとき始めて、成績もあがり選手として生きていくことを決めたが、さぞご両親をはじめ家族は落胆したことだろう。お母さんの一言がぐっと迫る。
 「漬物石を持ち上げられたって、何の得にもならないでしょう。」

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| 古本読書日記 | 05:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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津村節子  「瑠璃色の石」(新潮文庫)

津村節子  「瑠璃色の石」(新潮文庫)
吉村昭が大好きで、殆どの作品を読んでいる。その吉村のなかでも短編集「青い骨」に収められている「さよと僕たち」が一番好きで、吉村を全部読むきっかけになった作品である。
 この「青い骨」のころが吉村と奥さんであり作家の津村節子がどん底に近いころ。
服飾卸会社を作ったが、取引先のメリヤス工場が倒産。不渡り手形の代償として山のように大量のセーターが工場から送られてきた。このセーターをチッキで事前に販売場所に送り、そこで青空売り場を作り販売する行商を吉村、津村夫妻がする。青森、北海道をまわる。
 その移動する列車のなかで、小説を書く。すごい生活である。
お金も無いのに、丹羽文雄に勧められそのころ書いていた短編を集めて本をだそうとする。
当然どこの出版社もそんな本を出版するはずもない。だから、何と印刷、製本代は後払いの自費出版である。しかも、初めての本だからといって、出版記念パーティも開く。
 で、この本は1000部冊つくったが、全く売れない。200部ほどは知人に売ったりあげたりして無くなったが、残り800冊は狭いアパートの部屋に積みあがったまま。その「青い骨」が一番好きな本である私もかなりおかしい。
 遅咲きな作家がいい。社会にもまれた後の作家は、広さ深さが違う。でも、残念ながらこういう作家を文壇は嫌う。遅咲き作家は清張、山崎豊子、篠田節子、三浦綾子、水上勉、新田次郎そして吉村、津村夫妻。今でも書店で脈々と販売されている。

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| 古本読書日記 | 05:49 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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収穫祭

昨日だったか、「毛が抜ける時期で、ダイソン(掃除機)にたくさん毛がたまった。見せようと思って取っておいた」と、母が言いました。
猫3匹に犬2匹ともなれば、抜け毛も多い。
一番ははなこらしいです。

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毛の長いちこりがたくさん抜けそうに見えます。
が、おばあさんになるとボリュームダウンするのか、昔ほどじゃない。
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今でもブラッシングは好きなようです。

先日記事にも書きましたが、「硝子の葦」は知恵袋をきっかけに読みました。
当然、回答に感想を書いたのですが、「ラブレスはもっと好きです。これに似た、お薦めの本を教えてください」とさらにメッセージが。
とりあえず、「実は桜木さんの本はあれが初めてで、ラブレスは未読です。ごめんなさい」と答え、今は「ラブレス」を読み進めています。
誰かのために選んで勧めるのって難しいですね。食べ物や音楽も難しいけれど、本はさらに難しい。
で、「ラブレス」なんですが、「硝子の葦」とはまた違う感じです。
「硝子の葦」だけなら、犯罪ものやいわゆるイヤミスを候補にしたと思います。吉田修一「悪人」とか宮部みゆき「火車」とか明野照葉「25時のイヴたち」とか。
「ラブレス」は途中ですが、過去をたどったり語ったりする感じのものがいいのかなと思います。でも、連城さんの「秘花」と百田さんの「永遠のゼロ」くらいしか浮かばない。
「嫌われ松子の一生」とか「花の鎖」とか「尋ね人」とか「晴子情歌」とか、全部未読なんですよね。

あと、長嶋有「ねたあとに」もじりじり読んでいます。
大学時代に行った先生の山小屋とか、祖父の古い家とか思い出してしまい、なかなか進まない。

| 日記 | 23:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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山田太一 「いつもの雑踏 いつもの場所で」

テレビは見るけれど、ドラマはほとんど見ません。
家族全員で夕飯食べつつ野球中継とかクイズ番組とかニュースとか見ていますね。
でも、山田さんの名前くらいは知っていますよ。

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読んだのは、「君を見上げて」と「飛ぶ夢をしばらく見ない」だけです。
前者は、V6の人とモデルさんでドラマ化したそうで、放送時にちょっと気になったのですが、イメージが壊れそうで見られなかった。
連城三紀彦「わたしの叔父さん」もそう。
文章だから、
「僕たちは、甘くなりようがない。だからこんな風に話せる」
「君の協力がなければキスも出来ない」
「叔父さん、私のお母さんが好きだったんでしょ」
「AB型の男性って、ひんやりめらりの性格なんだよね」
等々、すんなり読める。でも、俳優さんがこれを言ったらなんだか「酔っている」感じでしょうからね。
だからって違和感のない話し言葉に直すと、原作のイメージからは離れていく。

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有川浩のストーリーセラーで、物書きのOLが同僚の口にした「猫はがれかけ」という表現を気に入り、持ち歩いているUSBメモリのネタファイルへ残したというくだりがありました。
著者の山田さんは、タクシーで乗り合わせた親子の会話に触発されて長いドラマ(ググッたらNHKの朝ドラらしい)を書いたそうです。
「体験したことを活力にして物語をつくるのではなく、体験しなかった世界への憧れや想像がバネになる」と書いているので、想像力逞しい人なんでしょうね。
私も外で耳にした会話が面白く、「これはネタになる」と思うことはあります。ただし、その会話を使うため前後の流れや話者の性格を設定し、起承転結のある話にするのは難しい。
「話題のツイート」やブログ記事みたいな、一発ネタが限界です。
だから、ある取材をもとに3本もドラマを書いたという山田さんは、すごいと思います。
「シナリオの書き方スクールへ来る前に、その人が独自の世界を持っているかどうかは決まっていて、教えて持たせることはできない」ともあり、才能の有無はあるんだろうなと。

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デブ。

もう一つ面白かったのが、「親の年齢になって、子供の現実を感じ取ることは困難」というところです。
「彼らの身になったつもりが、せいぜいおのれの心に耳を澄まし、その心を単純化し不器用にした程度のことに過ぎない。
自転車に乗れるようになると、あきれるほど急速に乗れなかった頃の心のありようは遠ざかってしまう」
とな。
当たり前といえば当たり前ですが、他人の気持ちになることはできないし、数年前の自分の気持ちになることも出来ない。
ただ、自分のことを考えてみると、不器用や単純の度合いがあんまり変わっていないような気がします。
20歳になったら、30歳になったら、精神的にもっと成熟しているんだろうと思っていたんですがね・・・。

| 日記 | 15:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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恩田陸    「私と踊って」(新潮文庫)

今は合コン。私の学生の頃はダンスパーティーだった。色んなクラブが資金集めのためにダンスパーティーを企画。そのチケットを販売してクラブの活動資金にするのだ。とにかく異性と安直に出会うのに手っ取り早い手段がダンスパーティへの参加。最初に住んだ寮でも、先輩が躍起になってダンスを教えてくれた。
 ところがパーティへ行っても、容貌、容姿が良いか、それに誰にでも声をかけれる厚顔無恥でなければ、なかなか踊るパートナーが見つけられない。そうして、いつも壁のしみになってしまう人が何人かいた。
 この作品の主人公もそんな壁のしみ。ひとりぼっちでポツンと淋しくしていたら、私と踊ってと声をかけてくれた女の子がいた。
 変だ。女の子同士が踊るなんて。それに、その子は会場でなく廊下に引っ張ってゆく。だから廊下で存分に踊った。
 更に女の子は実は当時でも有名になりかけていた世界的ダンサーだった。壁のしみの子は、その後はもう踊ることはなく、新聞社に就職して普通の道を歩むが、その子は超有名ダンサーとして、世界をかけめぐる。
 でも、ときどき主人公である壁のしみの子に会ったり、電話をかけあったりする。ずっと離れず友達同士。壁のしみの主人公はずっとダンサーを見続けた。
 ダンサーは孤独と戦っていた。どんなに喝采をあびても心は寂しかった。
主人公は聞く。「私は女なのに、どうしてあのとき誘ったの。」「だって、あなた私とおどりたかったのでしょう。」そして加えて「私とずっと一緒に踊って」
 ダンサーは最後もう死ぬとき電話で、最愛の主人公にこんなことを言った。そして3日後に亡くなった。

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川上未映子   「乳と卵」(文春文庫)

川上未映子   「乳と卵」(文春文庫)
言葉は相手に伝わらなければ無意味。その言葉で生き生きとしたシーンが目の前に展開しないようならやっぱし小説は無意味。
 川上のこの作品は表現が素晴らしいのか、言葉の扱いが上手なのか、物語が読者に入り込んできて、読者を揺り動かしてしまう。特に、巻子と緑子親子の卵をそれぞれの頭で割りながら、対決するシーンの描写は圧巻。豊胸手術を受ける決意をした巻子が銭湯で、まわりの女性の胸をみながら解説する、その言葉が実にすばらしい。
 
「あの子はまだ若いのに靴下」「え」「・・・・胸なんか水風船みたいなもんで、ぱんぱんのときはええけども人によってはあのように靴下になるのです。あれ、見てみ。足入れてない男もんの靴下二枚ぶらさがってるように見えるやろ。」
 余計なお世話であるけれど、揉まれるなどの機会にはどのようにして揉まれるのですか。
揉むというよりはもしかして握る的な・・・・

 圧巻の表現力である。

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道尾秀介  「竜神の雨」(新潮文庫)

道尾秀介  「竜神の雨」(新潮文庫)
幾つかの店を経営している半沢のところに、大宮の居酒屋から電話がくる。外は台風が接近していて暴風雨。今半沢のいる店も、鍵でピッタリと入口を締めておかないと、雨が降り込んでくる。こんな日は当然お客はゼロに近い。
 大宮の居酒屋では台風で魚がはいらない。それでできないメニューがでたから、半沢に来て欲しいとの依頼の電話。その居酒屋だって、お客はゼロに近い。それなのに、暴風雨のなかを普通、そんなことで、危険をおかして大宮まで行くことはしない。
 しかしこのことが、実は事件の重要な解決のトリックになっている。ならば、もう少しどうしても暴風雨のなか大宮に行かざるを得ない事情を作りこまなくては。
 すべてが上滑りで軽すぎる。楓が半沢に襲われそうになる場面がある。道尾にとっては恐怖感を読者に抱かせねばならない場面で、力もいれているようには思う。だけど、人間がしっかり描けてないから、何だか人形劇のようで、少しも恐怖が伝わってこない。
 解説が無いだけ救われた。この作品を礼賛するような解説者がいなくて本当に良かった。

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水村節子   「高台にある家」(中公文庫)

水村節子   「高台にある家」(中公文庫)
作家、水村美苗の祖母が書いた私小説。美苗の祖母ということは、だいたい芥川、菊池寛などと同年代。ただ、水村がこの小説を書いたのは70歳。しかも初めてで最後の小説。
それでも、大正から昭和にかけての、疑古文体で書かれていて、懐かしく古典の味わいがある。
 節子の両親。父は神戸高商、今の神戸大学の卒業で家柄もよくエリートの部類。一方母は
最初、素性は明らかにされないが、口減らしのために売られた芸鼓。父の家系や親族は、風格があり、住む家もすばらしい。母の友だちや、親族は貧乏か成り上がりでがさつ。それは母にもちゃんと受け継がれている。だから、節子は、父を尊敬し父にはなびくが、母を蔑み、嫌う。しかも、母は、なにがあっても、父には逆らわない。父が愛人のところに入りびたり、
家に帰ってこなくても、母は何も言わない。
 驚くのは、結局父が母と別居を決め、愛人のところにはしり、その愛人が病気になり、
入院したとき、父は母に愛人の面倒をみさせるが、それを母は全身全霊を傾け行う。
 そんな不条理なことと並行して、母のたどってきた人生がだんだん明らかになってゆく。
そして、節子は、母が父にしがみつかねばならない背景を知ってゆく。その哀切がしみこんでいく度に、父から母へと節子の心が近付いてゆく。

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動物行動学入門

私「今、ソロモンの指環を読んでいる」
母「宮部みゆき?」
それは、ソロモンの偽証。ここ十年くらい、宮部さんの本は読んでいません。

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たまに仲良し。

というわけで、コンラート・ローレンツ「ソロモンの指環」読了。
あとがきにありますが、ソロモン王が聞き耳頭巾的なアイテムを持っていたわけではなく、獣・飛ぶ生き物・魚「について」語ったという部分が、獣や魚「と」語ったのだと誤解(誤訳?)され、外伝の物語ができたとかなんとか。
ニャウリンガルとかバウリンガルとかありましたが、話せてもろくなことにはならない気がしますね。

コクマルガラスのエピソードはなかなか面白かったです。
カラスが人間と同じくらい長生きするとあって、そんなバカなと思ったのですが、ググったところ飼育下で60年生きた記録があるそうな。
ヒロイン格のロートゲルプ(ワーグナーの歌劇に出てきそうな名前)も空気銃で撃たれて死んだそうで、何事もなければ長生きできるらしい。

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この前、テレビ番組(ナニコレ珍百景)で計算する犬が出てきました。
番組スタッフが問題を出しても正解したということで、「飼い主が合図を出してズルをしているわけではない!」と盛り上げていました。
この半世紀以上前に出版された本によると、
<無意識にかすかな合図を送って、「考えている」動物に正しい答えを教えてあげているのだ。
「もうよろしい」と知らせてくれる合図を、動物はひたすら待っている。
この無意識の合図を出さずにおさえることの出来る人は、よほど自己観察力と自制心の強い少数の人たちだけである。>
だそうです。
お面をつけても、息遣いとか緊張とかは伝わるだろうな。
アンドロイドに出題させて、人間は監視カメラで間接的に確認することにすればいいかもしれない。

先日読んだ、訳者である日高さんのエッセイはあんまり記憶に残りませんでしたが、この本はなかなか面白かったです。

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江戸川乱歩 「不気味な話」

ようやく読み終わりました。長嶋さんやローレンツを優先してしまったので。
最初の3つについては前に記事へ書いたので、残りを。

虫:
当たり前ですが、現代に生きていたら死体が腐っていく過程なんて、知ることもないでしょうね。
野良猫の死骸を観察するくらいは出来るかもしれないけれど、生肉生魚は傷む前に捨てるし、冷凍庫もあるし。
生々しく書ける作家が、本当に腐敗を見たことがあるのかは分かりません。

防空壕:
つり橋効果・・・とは違うか。死と隣り合わせの状況で、抱いている女が老婆でも気づかなかったという。
防空壕の中が暗かったのもポイントですね。朝になって相手の顔を見てみてびっくりという話は、いろいろある。

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次の5話が「異形楽園」というくくりになっています。
鏡地獄:
私はミラーハウスで壁に激突するタイプです。「虫」もそうですが、自由に使える金があると歯止めが利かないということですね。
火星の運河:
SFではありませんでした。夢オチ(?)です。
踊る一寸法師:
一寸法師が虐められるシーンも、手品のシーンも、なかなかグロテスクです。
指:
神経を押さえると、切断した指が動いているような気になるそうな。なるほど。
芋虫:
角川ホラー文庫は伏字だらけでしたが、これはありませんでした。発表された当時の文章なのか、ソフトな表現へ改稿されたものなのかはわかりませんが。

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次の5話が「犯罪幻想」
目羅博士:
あんまり照明が明るくない時代だからこそ、ありえそうに思えるトリックです。「何の動機がなくても、人は殺人のために殺人を犯す」そうな。
百面相役者:
死体の肉で仮面をつくるのは技術がいるでしょうね。萎むと思う。そして、その仮面をつけるもとの顔はよっぽど扁平でないといけない。
白昼夢:
「虫」の主人公が失敗した死体の保存に、成功したという話。まぁ、幻想ですからね。実際は、条件が厳しそうです。屍蝋といえば八つ墓村。
毒草:
ユニセフの募金を募るコマーシャルを見ると、産児制限のほうがいいのではと思う。きりがないですよね。それでも、犯罪幻想の中に入っている以上、中絶が殺人ということになっている。
お勢登場:
タイトルが意味深なのですが、他の作品にも出てくるんですかね? ハムナプトラの、生きながらミイラにする刑にも似た、なかなかひどい殺害方法です。

夜は、読まないほうがいい(・△・)ノ

| 日記 | 22:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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道尾秀介  「骸の爪」(幻冬舎文庫)

道尾秀介  「骸の爪」(幻冬舎文庫)
推理小説というのは、作家が思いついたトリックを見破り、犯人をあてるところに読む楽しみのひとつがある。
 この作品は、伏線のデパート。とにかくたくさんの伏線をまきすぎ。こんなにあったんじゃあ、とてもじゃないが犯人探しを読者は楽しむことはできない。
 それで、道尾は得意気になっているのか、誠実なのか知らないが、このデパートのような伏線や、怪奇に思われる現象を、懇切丁寧に説明、解析してみせる。それがデパートだから、200ページも使わねばならなくなっていて、事件の概要はわかっている読者には、飽き飽きするほど長い。
 でも、物語を楽しむのではなく、推理を純粋に楽しみたい読者には、この解析がたまらなく面白いのだろう。

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小杉健治  「それぞれの断崖」(集英社文庫)

小杉健治  「それぞれの断崖」(集英社文庫)
主人公恭一郎はシステム会社の開発部長。大手電機メーカー葵電機より熾烈な競争を勝ち抜いてミニシステムの導入に成功する。
 ところが、他の部で開発し、東和銀行へ納入したシステムに設計ミスが発覚。恭一郎の上司の専務が、東和を優先し、恭一郎の部下4人をミスした部へ異動させる。これにより、葵電機へのシステム開発が大幅に遅れることになり、葵電機から注文キャンセルを食らう。
 失意に沈んだ恭一郎は、部下の深瀬とともに、酒のみへ。そして、その後深瀬に誘われ、売春クラブに行く。
 ところが、売春クラブに行っている時間に、不登校の息子恭介が刺殺される。
そのため、アリバイを説明できず、犯人に仕立てられる。アリバイを言えば、家族からは遠ざけられ、妻と娘からは関係を拒絶されると怖れる。会社には、恭一郎が犯人ではないかと
警察が出入りし、仕事に支障がでる。それで、休職を命じられる。
奈落の底におちてゆく恭一郎の描写がすさまじい。
 この作品もそうだが、小杉の作品は、普通の暮らしをしている人たちが、ひょんなことから、窮地に追い込まれることが多い。それが、いかにも誰でもがあってもおかしくない事象で、リアリティがある。 ただ、後半の加害者の母親との恋愛は頂けなかった。これはやりすぎ。

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篠田節子   「転生」(講談社文庫)

篠田節子   「転生」(講談社文庫)
インド洋に面しているバングラデッシュやパキスタンは毎年のように大洪水の被害を受ける。一方ヒマラヤ山脈をはさんで中国側は、広大な砂漠不毛地帯。しかも、その面積はどんどん拡大している。
 そこで中国はとんでもないことを思い付き実行しようとする。8000mの山を破壊して、熱帯モンスーンの風を中国まで来させる。そうすれば、パキスタンの大洪水は少なくなり、中国の砂漠は雨に恵まれ、砂漠が耕作地に変わる。
 で、山の破壊。ダイナマイトを使っていると何十年かかるかわからない。だから、核をつかうことにする。核なんか使うと、砂漠が耕作地になっても、放射能に埋まり、誰も近付くことができなくなるのに。
 しかし、何となく今の中国なら山破壊をやるのではないかと思わせてしまう。
こんな奇想天外な話に加えパンチョンラマ十世が謎の死をとげるのだが、金粉を体中に塗ったまま、生き返り、コメディタッチな行動、言動で活躍するというもうひとつの奇想天外がこの物語の軸になっている。チベット人をただ中国政府より弾圧されているという単細胞的視点でなく多角的、人間臭く描かれているところに感心する。

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小杉健治   「境界殺人」(講談社文庫)

小杉健治   「境界殺人」(講談社文庫)
土地家屋調査士という仕事がある。土地登記や測量のスペシャリストとしてなくてはならない職業である。
 この作品は土地調査士の実際の業務、活動をリアルに描きながら、主人公の土地調査士がやがてとんでもない殺人事件に巻き込まれてゆく作品である。
 隣同士で長年暮らしている2つの家庭。お互いに助け合いながら、絆も強い関係を保っている。そこに片方の家庭で、息子2人に生前土地分与の話がでて、再度その家庭の所有地を確定することが必要となる。通常土地は境界線を明確にするために杭が打たれている。ところがその杭が確かにあったのだが何者かによって抜かれてしまっていた。そこで、両家の確執が起こった。そのことから、殺人が起こり、更にそれが次の殺人にもつながり、事件は単に確執では収まらなくなった。
 そして、最後、事件の真相は、人間の欲望と諦念が絡み合い複雑で重層的な事件であることがわかる。力作である。

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道尾秀介   「鬼の跫音」(角川文庫)

道尾秀介   「鬼の跫音」(角川文庫)
道尾の作品読み続けようとは思うが、どうにも肌合いが私とはあわない。食い足りなさ、物足りなさがいつも残る。
 11年前に妻と恋愛していた男を山中で殺害する。頭蓋骨まで砕いて、そして土を掘りそのなかに埋める。その殺害を知っているのは鈴虫だけ。この鳴き声が耳にいつもとりついている。
 主人公は大手を振って妻と結婚する。長男も設けた。その長男が学校から鈴虫をもらいうけ、家で飼う。こんな具合で鈴虫が物語のメインにすわり続ける。
 今、主人公は、刑事の取り調べを11年前の殺人容疑者として受けている。その刑事の方にも鈴虫がとまっている。鈴虫がどうして事件を暴き、犯人が主人公であることがわかったのか興味がつのる。
 で、結果は埋めた山が豪雨で土砂崩れがおき、死体が発見される。そこに血痕のついた主人公の作業着ある。しかも、名刺やカードで主人公が特定できるものもポケットにはいっていた。それで主人公は逮捕される。とんでもない肩すかし。一体溢れるほどに登場した鈴虫は何のために存在していたのか。

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長野まゆみ  「雨更紗」 (河出文庫)

長野まゆみ  「雨更紗」 (河出文庫)
この作品は、豪雨であれ、篠突く雨であれ、雨に埋もれて読めば実に味わい深い作品に変わる。
 長野世界はいつも不思議に満ちている。いったい、この話の中で、生きている人はいるのだろうか。それとも、みんなすでにこの世にはいなくて、幽霊の物語を読んでいるのだろうか。
 稲妻がとどろくときには、恐ろしい事件が起こり、霧雨にかすむようなときには、ファンタジックな会話や事柄がおきる。雨、雨、雨、雨が降り続く。雨には何の個性もないように思うが、古く壊れかけた家には雨漏りがあり、ひとつひとつの雫には落ちる速さや形には個性があり、感情もある。しかし、待ちかまえている碗に入ると、個性はなくなり水たまりになる。その水たまりになる前に、最後の切ない声を発する。

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| 古本読書日記 | 06:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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長嶋有 「夕子ちゃんの近道」

長嶋さんの小説で、大江健三郎賞をとっているので、おもしろい表現はいくつかあります。
ただ、あんまり印象には残らなそう。
「だからなんなんだ?」という感じです。
女子高生が先生との間に赤ちゃんを作るという事件は起きますが、全体的にゆるいです。

IMG_8545.jpg

先にあとがきを読みました。
確かに、主人公の名前が隠されたままになっていますね。
それがどんな効果をもたらしているかって・・・・・・難しいことはわかりません。
だから「ゆるい」のだろうか。ヤクルトとか国技館とか化粧品メーカーとか具体的な名称が出てきても、宙に浮いたような話になっている。

IMG_8546.jpg

あらすじに、「北の湖を下の名前で呼ぶフランス人」が出てくると書いてあって、「フィンランドとかロシアとかの湖だろうか。湖に女性の名前がついているのか?」と考えながら読み、終わりごろに「あ、キタノウミだったのか」と気づきました。
相撲のネタは全然わからなかったです。
著者と同世代だったら、相撲も音楽もピンとくるんでしょうかね。

IMG_8544.jpg

内容の薄さを、写真でごまかしました(;・∀・)

| 日記 | 21:32 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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篠田節子   「愛逢い月」(集英社文庫)

篠田節子   「愛逢い月」(集英社文庫)
想像は十人十色。小説で作られた想像を、自分の想像とすりあわせ物語を読み進む。それが楽しいこともあるが、自分の想像と異なってくると、ざわざわとした濁音が心に現れ、苛立ちが起こる。
 死ぬ直前の人は、病院のベッドに縛り付けられ、意識が混濁しているとき、どんな状態で過ごしているのだろうか。最愛の恋人と過ごした日々の記憶が、浮かんで消えて、それが記憶から現実になる。恋人はすでに死んでいる。
 この物語では死んだ恋人と、死ぬ間際の主人公を、高層ホテルの38階のロイヤルスィートへと導く。突然、時計の針が消える。死の世界には時間が無いから。
 死人と死直前の恋人同士が抱き合う。そこが、どことなく私をいらだたせる。そこには、生きている人間が感じる恋の情熱、深い享楽はあるのだろうか。永遠の時間のなかで、愛し合うとういうことは可能なのだろうか。恋は始まりもあれば、終焉もある。それが無いことは素晴らしいことなのか、それとも時間の無い世界には、恋愛などは存在しないものなのか。
 いらつきながら読む。その落とし前は流石篠田、うまくけりをつけている。 

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| 古本読書日記 | 06:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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長野まゆみ  「天体議会」(河出文庫)

長野まゆみ  「天体議会」(河出文庫)
兄の藍生は主人公の弟銅貨にとっては魅力いっぱいなのだが、大きな不満の塊でもある。
兄は余計なことは喋らない。弟には極端に無口だ。時々家にも帰らない。どこへ行っているかもいわからない。でも、学校には来ているみたいだ。どこで、勉強するかわからないが成績は抜群。
 兄は全く銅貨にはわからない。色んなことを聞いてもきちんと答えてくれない。
春、夏、秋がきてやがて冬がやってきた。兄は船に乗り、南の方へ行ってしまう。
兄は大人への入り口でどうしようかと悩んでいたのだ。そして、南は大人の世界だ。
勇気を持って大人へ一歩ふみだしたのだ。追う弟も、これから兄の経験した悩みのなかを彷徨う。そして、兄が通った道をやがて同じように辿ってゆく。
 鮮やかな季節の変化の描写を背景に、少年から大人へ脱皮してゆく不思議な少年たちを描く。

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| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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イロマンゴ島

長嶋有「夕子ちゃんの近道」も、江戸川乱歩「不気味な話」も今日中には読み終わらない見込み。
もやしもんガチャガチャにどっぷりはまってしまいましてね(ーー;)

ということで、エロマンガ島。
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本当にあるのかと、探してしまうじゃないですか。
幸い、分厚い地図もあった。
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ありますね。

残念ながら、会社に貼ってある世界地図では「イロマンゴ島」でした。
それはそれで卑猥な響きですが。

| 日記 | 19:01 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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床と君とのあいだには

今日も茶色い猫がいる。

どうも、ねえやです。最近は会社からもポチしています。
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↑同僚が描いてくれたんですが、「美化しているね」というツッコミが入っております。ま、そんなものです。

最近、ももちゃんが一緒の布団で眠ってくれるのですが、ベッドのふち側を選びます。
「落としたらいけない」と寝返りに気を遣う。
「夜中に出て行きたくなるかもしれない」とドアを開けたままにするから、トイレの音や朝の物音が良く聞こえる(爺やの朝は早い)。
「気分が悪くなったら可哀想」と、ノーマットをつけるのもためらわれる。
それでも、たまには一緒に寝たい。
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寝ているときも爪を出しています。
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猫と言えば、暑くなってきて手元の半袖Tシャツを押入れから出したり買い足したりしたんですが、デザインに猫が入っているものが多かったです。
猫派なので。
カレンダーも猫。
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ぽっちゃり猫というコンセプトなんですが、今月の猫はそんなに太くなかった。

| 日記 | 18:57 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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篠田節子  「砂漠の船」(双葉文庫)

篠田節子  「砂漠の船」(双葉文庫)
僕らの若い頃、北陸や東北から冬出稼ぎの人々が東京を中心とした大都市にでてきていた。
我が家も信州の山の中で農業をしていた。東北の出稼ぎ農家に比べたら、規模は小さいし、米つくりに適した気候でもなかった。でもかなりの農家が専業で暮らしていた。国家の要請もあったとは思うが、大規模農家の人々がこぞって出稼ぎにでる必要性についてはどうしても当時は理解できなかった。
 この作品を読んでわかったのだが、雪深い冬のなか、どこへも行けず日がな一日じいさんばあさんを含め、家族と暮らすことがいやで出稼ぎでたのだ。東京へでれば、自由だし、夜は呑み屋にくりだし若い女性を相手に飲んだり騒いだりできる。冬の故郷のじめじめした生活と比べれば天国と地獄くらい差がある。だから多くの出稼ぎ者が、冬を終えても帰らなかったり、どこかへと消えてしまった。当時流行った蒸発である。
 それから会社では、上昇志向が無い人はダメ人間の烙印が押される。会社より、家族中心の本来の人間世界を選択するなどと考え、根性こめて働かねばならないとき、5時には退社して家族と夕ご飯を食べるなんてことをしていたら、家族にもうるさがられたり、心配される。当然会社からも何を考えているのだということになる。こうした人たちの家庭のほうが壊れやすく、がんばり屋会社人間の家族のほうが絆は強い。
 こんなこともこの作品を読みながら思った。

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| 古本読書日記 | 05:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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