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2015年02月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年04月

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町田康   「耳そぎ饅頭」(講談社文庫)

町田康   「耳そぎ饅頭」(講談社文庫)
性欲、食欲、睡眠欲を三欲という。性と睡眠については、日頃の会話に登場することはあまりないが、最近食欲については、どこもかしこもほんとうに喧しい。テレビで安上りの、食べ物番組ばかり流すのも影響しているかもしれない。とにかく金持ちばかりでなく、貧乏人まであいさつ代わりに、「美味しい店みつけた?」「あそこ美味しかったわ。」と言い合う。
 私も最近まで、あの店、この店、あの味、この味を求めて、情報誌を持って街を彷徨っていた。それが、人生を生き生きとおくるための義務のように感じていた。
 会社人生が終わり貧乏になった。そうするとなかなか本能の赴くままの暮らしが難しくなった。それで、本能を捨てて、飯は腹に入りさえすればいいものと美味しい味を求めての
食事をやめてみた。これで我慢ができるかとかなり心配したのだが、2-3日もするとストンと貧乏窟に落ち、それを苦痛と思わなくなった。
 それで、今日も昼になると近くのスーパーに煮魚弁当288円を買いに行く。

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斎藤美奈子  「それってどうなの主義」(文春文庫)

斎藤美奈子  「それってどうなの主義」(文春文庫)
今でもそんな雰囲気があるが、右翼は保守反動、筋力を物に言わせ、左翼は進歩革新、知力でものを言わせる。右翼はとにかく悪の象徴、左翼はリベラルで正義という比較でずっと分類されてきた。
 この分類が少し怪しくなったのが、リベラルを背景に民主党が政権を奪取してから。左翼を任じている新聞は、こぞって民主党への応援団になり、右翼を腐した。しかし民主党は、右往左往して、ブレにブレまくった。そして、皆民主党に失望した。進歩、革新の化けの皮がはがれた。
 それで、ブレない安倍政権が登場して思いのまままっしぐらに突き進み始めた。これは危険、軍国主義への道に進むと左翼マスコミが騒ぎだす。しかし、舌鋒はあまり鋭く無い。
 それは、民主党アレルギーで国内世論は盛り上がらず、最近ではそんなことを書くと韓国や中国のマスコミ、政権から「日本にも良心的な人々がいる」とやんやの応援をもらえるから。下手をすると中国、韓国の代弁者とレッテルをはられ、日本を貶めている存在として皆から呪われる。へんてこりんな時代になった。

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金原ひとみ  「マザーズ」(新潮文庫)

金原ひとみ  「マザーズ」(新潮文庫)
子供を産んで育てるということは本当に大変なことだ。加えて、仕事を持っている女性にとってはまさに苦行である。仕事を持ちながら子育てができるのは、私の周りではその殆どはじいさん、ばあさんが面倒をみている家庭である。
 それ以前に私は女性でないのでわからないが、女性は本来子供を産んで育てたいという欲求が備わっているのだろうか。この本を読んでいると、とてもそんな風には思えない。母性本能とか、女性は子供を守り育てるものという社会通念が前提にあり、その通念は絶対的に正しいものであり、それが女性に対して重圧になっているように思ってしまう。
 夫は、仕事が大変という言い訳で、全く子育てを担ってくれない。それどころか子育ての鬱屈さを訴えても、聞く耳はもっていず、面倒くさいという表情ばかり。この作品は社会通念の枠を取り払って子育てにある事実を読者にさらしている。それだけに滅入る作品である。
 加えて3人の女性が登場するが、環境は違うようになっているが、それぞれに殆ど違いがなく、同じような場面が続く。それで600ページの余。とにかくうんざりするほど長い。

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相場英雄  「デフォルト」(角川文庫)

相場英雄  「デフォルト」(角川文庫)
ダイヤモンド小説大賞受賞作品。
日本は平等社会。ヨーロッパのような階級社会は存在しないはずである。
ところが日本にも階級社会、差別があるのである。それは貴族階級とは言わず閨閥と呼ばれるところに所属する人々である。
 だいたいは高級官僚や金融機関のエリート社員がエリートとしての存在を揺るがぬものとするため、政治家の娘を嫁にする。これが、閨閥への入門になる。
 閨閥に入ると、一般人を規制している法律や秩序からは除外される。どんな振る舞いも許される。
 官僚や政治家は体を張って門閥に属する人々を守らねばならない責任がある。そして、その門閥に対して疑問を呈したり、攻撃をしたりする人は、社会の隅っこにおいやられる羽目になる。この作品は正義ぶって門閥に対抗する人の最後に行き着く哀れさを描く。
 ダイヤモンド社の文学大賞受賞だから、スポンサーである金融会社、官僚をたたく小説であってはいけない。悪をあぶりだし、何故そんな行動をとるのかは、この作品には無い。

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薬丸岳   「ハードラック」(講談社文庫)

薬丸岳   「ハードラック」(講談社文庫)
今の暴力団は、たくさんの団員をかかえしのいでいることはしない。会社も、社員はかかえず派遣、契約社員パートを大量採用し極力社員はかかえないようにすることと同じだ。
 詐欺や犯罪を考え、企画する人間がいる。それを実行する人間を集める。振り込め詐欺なども、電話する人間、金を受け取る人間などパートにわけて実行者を雇う。世の中には、それが犯罪だとわかっていても、一時の少し大きい報酬でやとわれてしまう境遇にいる人間がたくさんいる。
 その多くが多重債務者。どこかで社会から放り出され、街金融から金を借りてしのぐが、それが膨大な金額になり、返済不能になってしまった人間。彼らは取り立てからのがれるため、街を放浪。以前はホームレスになるのが普通であったが、今はネットカフェをねぐらにしている。
 そこに待っていたかのように、ネットに犯罪計画者がいいかせぎの仕事があると募集広告をのせる。それに群がり、吸い付くのがネットカフェ放浪者。そして、彼らが詐欺、犯罪の実行者となる。決して計画、操作人は捕まらず、底辺を彷徨う放浪者ばかりが、警察に捉えられるのである。
 それにしても薬丸は追いつめられ犯罪に至る過程や、犯罪や詐欺を引き起こす過程をリアルに描いている。全く感心する。調査も丹念にしておいるだろうが、それを物語に創造する力量は他の作家の追随を許さない。

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吉野翠   「トモシビ」(TO文庫)

吉野翠   「トモシビ」(TO文庫)
千葉の銚子から外川までの6.4KMを走る盲腸のような鉄道路線がある。それが銚子電鉄。大正時代に営業を開始。その後幾多の困難を乗り越え、現在も継続され営業している。
 鉄道事業は慢性的な赤字。経費節減のため、走る電車は京王線電鉄で走っていたものを四国の伊予鉄道が買いそれで長い間走っていた車両を譲り受けたすごく古いレトロな車両。
 作者はそんな鉄道に乗りながら学生時代をおくる。その後、銚子電鉄の歴史にふれ、レトロな車両、変わらない車窓に魅せられ完全に銚子電鉄のとりこになった銚電テッチャン。
その想いが物語を作らせた。
 しかし残念なのだが、物語と銚子電鉄が融合していない。銚子電鉄の存在があり、そこを起点として物語を作ってほしい。まず物語がありそこに電鉄をはめようとしていることで失敗している。

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金原ひとみ  「星へ落ちる」(集英社文庫)

金原ひとみ  「星へ落ちる」(集英社文庫)
空には無数といっていいほどに星がある。あんなにたくさんあるのに、星はひとつ、ひとつ孤立して他の星と何の関係も持たない。
 この短編連作集にはそんな星のように孤立した若い男女が登場する。どの子も、家族から離れてしまっている。加えて、すがるべき先輩も友達もいない。だから、恋をしようとする。すがるべきは恋人だけ。しかし、そんな恋はあまりにも脆く、終わりも早い。そして、冷めきった部屋に一人気が付けばポツンと放り出されてしまっている。
 だから、ひたすら部屋を出て行った、出て行ったとは決して認めたくない相手のことばかり寝ても覚めても思い浮かべる。
 今どうしているのか。新しい相手と楽しくやっているのか。そのことは別れではなく、相手が浮気しているのだといつまでも思っている。孤独と寂しさと嫉妬が渦巻く。
 都会には星ほどのたくさんの人々がいる。でもどこか皆が、星と同じように孤立している。

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今野敏   「潜入捜査」(実業之日本社文庫)

今野敏   「潜入捜査」(実業之日本社文庫)
規制改革、自由化が一部で叫ばれているが、逆に規制がかかり厳しくなっている分野も多い。
食品、薬物、環境などの分野は、規制がどんどん厳しくなっている。規制を遵守することは、規制前に比べコスト負担が大きくなる。そうすると、どうしても規制前の状態で事業や活動をしたいと思う。ここに暴力団がつけこみ甘い汁を吸う。暴力団は今どうやって金を稼ぐか。
規制ができるたびに、それに困っている事業者につけいり、銭儲けをする。これが莫大な収入源になっている。規制は暴力団の活躍場を増やしているのである。
 この作品では毒物、危険物の輸送規制、産廃物不法投棄規制に暴力団が付け込んでいる姿を描いている。運送会社というのは世のなかに掃いて捨てるほどあり、その殆どは小規模会社、青息吐息の会社ばかりである。その青息吐息の会社につけいり、産廃不法投棄、毒物輸送をやらせるのである。運送会社は多少実入りはいいかもしれないが、ばれてしまえば、
万事休す。でも、そのことを強迫で行わせた暴力団は絶対表面にはでず、捕まることはないのである。

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町田康  「きれぎれ」(文春文庫)

町田康  「きれぎれ」(文春文庫)
芥川賞受賞作品である。
よくわからないが、主人公は没落してしまった家の一員なのだが、没落がわかっていないぼんくら兄ちゃんである。絵描きを目指しているようだ。
 そのぼんくら兄ちゃんが、なんだかんだと色々行動するのだが、それが世の中と特にタイミングがズレていて、それがユーモアを醸し出し、絶妙なギャグになる。
 吉原という絵描きが登場する。少し成功している。彼は、普通の生活軌道にのって暮らしている中流サラリーマンを象徴しているように思う。主人公は、自分より才能が劣っていると思っている吉原が普通の生活を営んで、自分がみすぼらしい生活をせざるを得ない状況にあることに理不尽を覚える。嫉妬もする。で、反逆するようにも見えるが、そんな嫉妬すべき男に結局すがらざるを得ない。そこに強烈なギャグが生まれるのだが、そこがとても切ない。

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重松清  「みんなのうた」(角川文庫)

重松清  「みんなのうた」(角川文庫)
清張の本を読んでいると、嫁 姑の争いについて書いたものがあった。今はそんなことはあまり問題にならない。嫁が旦那の家にはいることがなくなったからだ。私の周りも爺さんかばあさんが一人で住んでいる家が多くなってきた。息子や娘は東京か大きな都市にでて盆と正月くらいしか帰ってこなくなった。
この作品はそんな田舎、ふるさとを扱っている。でも、したたかにあざとく問題の本質を避け、人間の絆は素晴らしいものという感動物語に転化させている。現実感が乏しくうそくさい。
重松はどこかうわべの感動をつくろうとしていて、本質に突っ込んでいかない。

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今野敏  「同期」(講談社ノベルズ)

今野敏  「同期」(講談社ノベルズ)
官僚のなかでも、警察や自衛隊は組織統制が最も大事な組織だ。
しかし警察もトップに近い人間は、悪を追及するより、警察を覆い尽くしているさらに上の権力の意向を身を挺して実行することが何よりも重要と考え行動する。
ノンキャリアで足で稼ぐ末端刑事には、見ることなどとてもできない雲の上の存在が警察トップ官僚である。しかし、権力側の意向で、ごくたまに真実を解明してはいけない、犯人をつかまえてはならない事件が発生する。
 その意向が沢山の組織の階段を降りてきて、現場にたどりつく。末端はそれに疑問を挟んだり、抵抗は絶対しない。そんなことをすれば組織統制が守れないから。もし抵抗すれば、その刑事は警察組織にはめられ懲戒解雇にされてしまうくらいの事件を警察はでっちあげる。見せしめである。
 この作品は、末端刑事がトップにまで直接会って意向に逆らうことを描く。この刑事は言う。「雲の上の人間などいない。みんな地面を歩いている。」と。
 小説でなく現実もそうであってほしいものだ。

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北野武  「超思考」 (幻冬舎文庫)

北野武  「超思考」 (幻冬舎文庫)
人生今まで60余年の中で、会社は40年近く過ごした。しかし密度からいったら会社以前のほうが数十倍濃かった。清張を改めて読むのは、その時代に戻ってみたいから。その時代の懐にいだかれていたいから。
 わけもわからないほどたくさんの家族らしき人がいた。ごはんや味噌汁は薪をくべて、竈で作った。貧乏な暮らしだった。芸人、歌い手、野球、ボクシングで必ずあこがれのヒーローがいた。
 たけしは同じ時代の空気をすっていた最後の芸人だ。かれの吐く言葉は、我々の世代の共感を呼ぶ。しかしどこかせつなくさみしい。

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金原ひとみ  「オートフィクション」(集英社文庫)

金原ひとみ  「オートフィクション」(集英社文庫)
川崎での中学一年生殺人事件。殺し方の残忍さに茫然としてしまった。加害者、被害者の家庭はどうなっているのか、教師たちは何をしていたのか、かまびすしく、センセイショナルに世間はとりあげ、有識者がでてきて、したり顔で論評をしていた。しかし、どれもきれいごとをのべるだけで、事件の本質にはとうてい近付いているようには思えなかった。
 家をでたレイは街でガトウという22歳の男に拾われ、そして抱かれる。直後に同棲をはじめる。ガトウはパチスロ依存症。パチンコ屋の店員をしているが、給料がでると、サラ金や仲間からの借金の返済で四分の三が使われ、残りはパチスロに使う。そして3週間以上も次の給料日まであるのに、レイの手元には320円しかない。
 そんな馬鹿男と離れればいいんじゃないか。親は何をしているのだ。外野はそう思う。
しかし、親から逃げ、この日本に1億人以上の人がいるにもかかわらず、レイがすがることができる人はガトウしかいない。ガトウが好きなのかもわからない。嫌いなのかもしれない。それでもレイにはガトウしかいないのである。
 世の中から捨てられた男と女の絶望と孤独、ひりひりとその切なさが伝わってくる。
決して寄り添うことをしないのに、絆とか寄り添うことが大事とかテレビで声をあげている人々の恐ろしいほどひどい欺瞞がこの作品を読むと迫ってくる。

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今野敏   「凍土の密約」(文春文庫)

今野敏   「凍土の密約」(文春文庫)
先の大戦は、日本がポツダム宣言を受諾することで終了した。
そのポツダム宣言の裏で、アメリカ、トルーマンとロシア、スターリンの間で領土についての駆け引きがあった。
スターリンが樺太、千島列島を加え、北海道の留萌と釧路に線をひき、その北をロシア領にすることをトルーマンに要求した。トルーマンはヤルタ協定でそんな話はなかったのでこれを拒否した。
 トルーマンは太平洋戦争の端緒となった真珠湾攻撃部隊が千島列島の単冠から出動したことから、ここにアメリカ軍基地を置きたいとスターリンに要求した。スターリンはその要求を蹴ったものの、北海道を分割所有できるのならという条件で、単冠の米軍基地を認めることにした。これを知ったマッカーサーが北海道分割を強烈に拒否したため、この話は沙汰やみになった。しかし、この物語は、実はトルーマンとスターリンは北海道分割の密約を文書にして取り交わしていて、しかも、それは現存するということで創り上げられている。
 もし密約所が発見され、プーチンに渡ったら。その発掘の過程で4人が殺され、それを敏腕公安刑事が追跡する。

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青山七恵   「すみれ」(文春文庫)

青山七恵   「すみれ」(文春文庫)
ずっと心を壊してしまっているレミさんが、何故だか知らないが主人公の藍子の家に居候している。レミさんは藍子の両親の大学時代の同級生である。
藍子が高校受験の年の2月14日のバレンタインの日が、レミさんの誕生日。大変なときではあるが、レミさんのために高校や大学時代のレミさんの友だちを呼んで、藍子の家で誕生パーティをする。
 レミさんも最初は、パーティを楽しんでいたのだが、途中で「やめてよ。」と大声で叫ぶ。「わたしは死んじゃいないのに。」と。
そう。参加した人たちは、大学や高校のころのレミさんとの思い出しか語らない。まるでレミさんの七回忌みたいだ。
 発狂してから、そして今のことについて誰も、何も言ってくれない。もう、皆には自分は存在していないとレミさんは思ってしまった。
 藍子の両親も仲間たちも、レミさんを暖かく見守り、励まし、支え、寄り添っているように振る舞うが、実際は、レミさんとの間には距離をおきたいと本音は思っている。
 にこやかな仮面の下に、冷酷な面が確実に潜んでいる。

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金原ひとみ  「アッシュベイビー」(集英社文庫)

金原ひとみ  「アッシュベイビー」(集英社文庫)
人間を書くことは難しい。しかし、男に限っては単純バカなのかもしれないが、小説で書くのはそれほど難しくない。女は書いても書いてもこれっというものが無く書くのが難しい。それは、女性となると虚飾で文章を着飾ったり、どことなく現実離れした情感熱い言葉で
表現してしまうからなのだろう。
 女をありのままに描いてある程度成功している作家の筆頭は山田詠美だ。そして、山田詠美をさらにつきぬけて女の本質に迫っているのが金原ひとみである。
 この作品の主人公アヤの叫びが悲しく切なく読者に響く。
 「好きでない男に抱かれるのは何とも思わない。でも、殺されるんだったら村野さんに殺してほしい。」
 「村野さんはとても丁寧な動作でタバコを吸い切った。煙になって消えた葉っぱとか紙が羨ましかった。私も、彼の中にはいって消化されたい。胸の奥まで吸い込まれて、彼の肺をさまよった挙げ句に吐き出されたい。」

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三浦しをん  「舟を編む」(光文社文庫)

三浦しをん  「舟を編む」(光文社文庫)
岸辺は出版社に入って3年目の社員。装飾雑誌の担当をしていたが、「大渡海」という辞書編纂部門に異動となった。異動してまもないころ、大手製紙製造会社の宮本という社員が、辞書用用紙のサンプルを持参しやってきた。辞書の編集はほとんどまじめ君という主任が一人でそのとき行っていたので、まじめ主任は、岸辺に応対をまかせた。素晴らしい見本に岸辺が感嘆していると、まじめ主任が「ぬるみ」がないとバッサリ。ぬるみというのは、薄い紙のページをめくるとき2枚3枚とまとめてページをまくれることのないように、指になじんでくっつくような感覚のする紙のことをいう。
 そのぬるみをだすために、宮本も宮本の会社も頑張る。岸辺も頑張って意見を言う。そしてこれぞという製品ができたとき、本当はまじめ主任が行けばいいところ、忙しいということで大会社へ岸辺が最終確認に向かう。
 その大会社では、宮本だけでなく、課長、部長が立ち会う。岸辺はまだ社員のひよこ。気後れをする。それでも、できあがった紙の完璧さに感動しこれでよいと言う。
 すると部長が、「岸辺さんに合格と言われて本当にうれしい」と言う。
仕事が地位や会社の大小に関わりなく、互いの懸命な努力、業績を認め合う瞬間である。
岸辺も大製紙製造会社も素晴らしい。
 それにしてもまじめ主任の、ラブレターというより恋文といったほうがよい手紙は怪書を越えて傑作である。

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斎藤美奈子  「麗しき男性誌」(文春文庫)

斎藤美奈子  「麗しき男性誌」(文春文庫)
男性のために出版されている、雑誌、週刊誌のこきおろし記。斎藤に言われるほどに、女性誌は男性誌に比べりっぱであるとは思えないのだが。
 週刊誌が売れているかどうかは知らないが、最近の世相や政治は週刊誌にふりまわされている。川崎の事件も新聞より、センセーショナルに週刊誌が書くから、皆週刊誌を購読するか立ち読みする。政治も本質は語られず、週刊誌が重箱の隅をつつくようなことを大スキャンダルのごとく扇情的に書く。国会や国会議員は、何か新しい事実を独自に探すわけでもなく、週刊誌をときにふりまわして政府の議員をつっつく。
 週刊誌に振り回されている政治はますます劣化する。
それではならじと新聞が息をまく。新聞は本来はまず報道であり、記事を書くことである。それが今朝の朝日、東京新聞をみても、トップは戦争への足音と題しての、生きている大戦時の特定の兵隊さんをだしての安部反対のおセンチ文。有識者に名をかりての尖閣諸島について朝日新聞の主張がトップ記事。新聞も最近は本来のありようを忘れ週刊誌化してしまっている。
 それにしても朝日の今朝の論文もそうなのだが、特定個人でなく有識者という抽象的言葉をもちいて自分の主張をする。恐ろしい言葉である「有識者」とは。

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宮部みゆき 「刑事の子」(光文社文庫)

宮部みゆき 「刑事の子」(光文社文庫)
東京ゼロメートル地帯というところが大雨や台風がくると昔はよく災害地としてニュースになった。江戸川区、墨田区、荒川区、ディズニーランドのある浦安もその地帯である。
 宮部はゼロメートル地帯で生まれ、育ち、この場所を舞台とした作品が多い。
 ゼロメートル地帯は小さい頃ニュース映画でみたが、粗末な長屋がたくさんあり、ぼろ家が浸水し、小船で通行していた。貧乏くさくて哀しいところだった。
 ゼロメートル地帯は東京大空襲で集中的に空襲され完全に破壊された地帯だ。だが、今やディズニーランドをはじめウォーターフロントとして開発され、近代的マンションやアウトレット、高層ビルディングが立ち並ぶ先進的地帯に生まれ変わった。
 この物語は、大空襲時代の人と、先進的地域に住む人殺しもゲーム感覚な人が結びつき起こした事件を、まったく陥没し存在さえなくなりそうなゼロメートル長屋で生まれ育った人たちが、事件を解決してその存在をみせつける物語。
 宮部は清張が好きだ。物語は清張の「疑惑」をモチーフにしている。

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斎藤美奈子  「あほらし屋の鐘が鳴る」(文春文庫)

斎藤美奈子  「あほらし屋の鐘が鳴る」(文春文庫)
本を読むことは、何の思想や哲学もなく、或は悩み、苦しみがなく、ただ趣味、楽しみのためでは本当に辛い。時間は長くとられるは、字はしょぼしょぼとして小さいし。それで、正直、これは面白いなんていう本に出合うのは、20冊に1冊くらい。
出版業界が不況なのはよくわかる。本読みは本当に鍛錬、苦行の場だと思う。
 でも、一貫した哲学、思想があると本読みは色彩が変わってくる。斎藤はとにかく男中心の社会が大嫌い。特にオジサン種族は身の毛がよだつほど嫌いな戦闘的フェミニストである。
 何を読んでも、何をみても、どこかに女性蔑視な表現や、風景はないかと血眼のように探している。こうなると、本読みは楽しくてしかたないものになるだろう。ケチをつけたい、ケチをつけたいとわくわくしながら読むのだから。
 斎藤の凄さは、銀行の窓口に女性行員がズラっと並ぶことさえ、女性を馬鹿にしていると主張するところ。本のタイトルにもなっているが、ここまでくると斎藤自身があほらしくはならないのだろうか。

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テッド・Y・フルモト  「バンクーバー朝日」(文芸社文庫)

テッド・Y・フルモト  「バンクーバー朝日」(文芸社文庫)
この作品を読むと、国や人間というのは、常に自分より低いと思う人たちを探しあて彼らを見下すことによって自分の存在を認識したい欲求で生きていることがわかる。
 明治から昭和の初めにかけ、日本人は貧乏な人たちが多かった。相続は長男がすべてするため、次男以下は、裸のまま世の中に放りだされる。そんな人たちが当時は、アメリカやカナダに夢を求めて移住した。
 カナダに渡った人たちは、カナダの白人に苛められ排斥された。カナダ人は移住者を自らより低い人々と認識したからである。
 そんな屈辱を受け、これ以上低い人たちはいないと認識していた、移民や日系二世の人たちが、日本に野球をしにくる。野球を通してだけど、日本などまともな野球などやれるわけはないとカナダ移住チームの人たちは思う。同じ日本人であるにも関わらず、日本に住んでいる日本人は、自分たちより劣ると思うことで、自分たちの存在の基盤を確立しようとする。カナダ人が日本人を見下したように。
 差別、区別を本能として、人間はする。

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伊集院 静 「いねむり先生」(集英社文庫)

伊集院 静 「いねむり先生」(集英社文庫)
伊集院は、何と小学校のころ精神病を発症して、精神病院で暮らした経験を持つ。病気が発症すると、頭の中を幌馬車が猛スピードで駆け回り伊集院を追い掛けた。伊集院は金切り声をあげ暴れまくった。大人になっても、特に深酒をすると発症した。発症の恐怖に震えながら暮らしていた。
 いねむり先生も同じ病気を患っていた。いねむり先生は機関車が駆け抜けた。
ふとしたことからいねむり先生伊集院が出会う。そして、いねむり先生にもたれかかって2年間を暮らした。旅にもでた。それは競輪の旅。マージャンに狂った。酒にものめりこんだ。
 公園で、道端で、伊集院はいねむり先生にひたすらもたれかかった。小説も書くことはなくなった。
 もたれても、先生はことさら救いの行いをしてくれたわけではなかった。普通に友達として接してくれただけ。でも旅は面白かった。先生といることがやすらぎだった。
 新潟県の弥彦で、先生と別々になり一人旅館で深酒をしてしまい、恐れていた精神病が発症した。発狂して、叫び声をあげていたとき、澄んだジャズの歌声が聞こえてきた。
おだやかでやすらかになった。ジャズは村の青年が歌っていた。先生が耳元で「もう大丈夫だよ」と言ってくれた。それから、伊集院は先生と一緒に、月がかかっている、田圃におりてパンツもぬいで「ヨイショ コラショ」と踊り狂った。
 それから発作が起こらなくなった。もう小説がかけるところまできたような気がした。
そんなときいねむり先生はこの世と別れた。
 いねむり先生は作家色川武大である。
伊集院は空を見上げ、その姿を印象深く描く。昔精神病院の先生が、発症しそうになったら空を見上げなさいと言ったからだ。

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中島京子  「のろのろ歩け」(文春文庫)

中島京子  「のろのろ歩け」(文春文庫)
中島は本当に巧みで感心する。3篇の中編が収められているが、最後の「時間の向こうの一週間」が一番面白い。
 一足先に上海に赴任でやってきた夫賢に、一緒に住居を探すということで上海に一週間滞在でやってきた妻の亜矢子。賢が現在住んでいるアパートに投宿するが、1LDKではあるが日本のアパートよりずっと大きく豪華で、住み心地も素晴らしい。どうしてここを移らねばならないと疑問に思っていると、賢が言う。
 「俺の上海での地位は高い。だからそれにふさわしいところに住まなければ。1LDKはいけない。」
 現地の人たちを低く見ている。現地の人たちもボスとして高給を食み、贅沢な暮らしをしている人として賢を見ている。
 賢は多忙という理由で、アパート探しを部下の女性に依頼する。おかしなことに女性は来ず、代わりにイーミンという男性がやってくる。このからくりは最後に明かされるが、亜矢子とイーミンは共に一週間近い行動をしながら、互いに淡い恋心が芽生える。この一週間が物語の読みどころ。
 しかし、やっぱし中島は最後にさりげなく面白い場面を用意した。
実はイーミンは日本人。上海の底辺を彷徨い、女性に離別され、人生の失敗者のためにある
田舎雲南省に行こうとしていた。だから、亜矢子に言う。
 「旦那さんは、エリートで、奥さんも幸せですね。」
 「賢は仕事ができなくて、子会社に出向するか、上海でも行ってみるかと会社で言われ、上海を選んだの。」と。
 でも賢はそんなことは全部忘れて、現地の人を前に、エリートで、偉いのだと信じている。
男は実に単純である。

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よしもとばなな「スウィート ヒアアフター」(幻冬舎文庫)

よしもとばなな「スウィート ヒアアフター」(幻冬舎文庫)
そこには、空虚、虚脱しかなかった。それがおこったときは逃げることに必死だったし、助かることに必死だった。だけど、その必死が通り過ぎたら、魂の抜けた自分と、愛する人を失った虚しさと、なにもかもが無くなってしまった荒れた土地だけが目の前に広がっていた。
 空虚は、そのことがあった土地に住んでいた人だけでなく、遠くその土地を離れた人たちの心にも宿った。起きたことが想像をこえていたため、その土地の人達はどのように対峙していいか全くわからなかった。はかりしれない大きな溝が起きた土地の人たちと遠くの人たちとの間に横たわってしまった。
 でも、時間がたつにつれ、溝が少しづつ溶け合い、まじりあって、失った魂をとりもどしてゆく。
 死ぬことは遠いことだと思っていたが、それは並んですぐ横を一緒に走っていることを知った。だから、今を強く生きてゆこうと思う。新しく知り合った人たちと。それこそが失ってしまった愛する人への慰霊のあかしだ。
 小さい物語だが、よしもとは懸命に輝く言葉を探して、心に響く作品を書き上げた。
大震災後の今を、よしもとは強く、そして温かくみつめて描いている。いい作品である。

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| 古本読書日記 | 06:45 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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町田康   「屈辱ポンチ」(文春文庫)

町田康   「屈辱ポンチ」(文春文庫)
義父が持っている、でかい、庭付きの古い家で主人公は暮らしている。嫁さんが、主人公に愛想をつかして、ロンドンに留学に行ってしまう。そこから、シナリオライターである主人公にパタっと仕事が来なくなる。
 金はなくなる。義父からも家をでてゆけと追い出されようとしている。ここまでの、物語の最初の部分で町田は見事に読者をつかむ。追いつめられていく主人公の姿、でかい家にすさんだ男が住んでいると、家や庭が異様に変化してゆく姿がこれ以上ないというくらいリアルに描かれ、どれもこれもなるほどといちいち感心し、笑いが思わずこみあげる。
 それで、ここも彼の作品の定番なのだが、追いつめられこれではどうしようもないというときに変てこな人が現れ(この作品では猪山という映画プロデユーサー)、そこから急に現実離れした、漫画の世界が繰り広げられる。この飛躍についていければ町田は面白いが、飛躍についていけないと辛い読み物に変わる。

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福井晴敏  「終戦のローレライⅠ」(講談社文庫)

福井晴敏  「終戦のローレライⅠ」(講談社文庫)
この小説には、その通りと思わずうなずいてしまう非常に重要な場面がある。
大戦末期の潜水学校で先生をしている絹見が、すべての講義が終了した直後、黒板に「帝国海軍潜水艦戦備の誤り」と書く。そして生徒に問う。「誤りとは何か」と。
 戦争中である当時、海軍に誤りがあると思う者などまったくいないから生徒は度胆を抜かれるし、なかなか答えようがない。
 それでも、生徒の一人の発言から誘発されるように、意見がポツリ、ポツリとでてくる。
それに対し、絹見は何の指摘もしないで、ただ見守っている。
 最後になり彼は言う。
「事実を見据え、問題点を拾いだし、可能なら改善方法を探れ」と。
私も、戦争を回避し、平和を維持する方法はこの絹見の言葉に尽きると思う。
事実を見据えないで、誰もが反対できないようなスローガン、戦争反対、平和を守れ、子供たちの未来に平和をなどと叫ぶ人たちが権力を持つことこそ最も戦争に近付くことだと思う。こういう人たちは、権力をもつと平和のために今こそ戦えとか、反動主義を殲滅せよと豹変する資質を有している人たちだ。
 どんなに恰好悪くても、苦しくても、事実を見据え、課題を拾い出す姿勢が重要であることを、作家福井が教える。

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あさのあつこ  「ガールズ・ブルーⅡ」(文春文庫)

あさのあつこ  「ガールズ・ブルーⅡ」(文春文庫)
解説の白石公子が書いているが、主人公の理穂が通う高校は地域のダストボックスと言われている、あまり出来が良くない生徒が集まる高校。
 高校3年生は、彼らにとっては、かなり苦しく、切ない時代である。それまでは、小学校、中学校、高校と同じ地域、街で送ってきた。だから、毎日、毎日、同じ友達と付き合い、楽しく生きてこられた。しかし、高校を卒業する、特にそれが地方都市であると、都会へとちりじりばらばらとなる。もちろん同じ街で生活する人もいる。18歳まで仲が良かった友達がバラバラになる。
 それからダストボックスの高校では進学校と異なり、18歳で人生を決めなければならない場面に立ち向かわねばならない人も多い。地域で就職する子。畜産を目指す子。野球生活一色からそれを見直す子。これはなかなか大変。だから、決断を先送りしようとする。しかし、確実に高校を追い出される日はやってくる。
 主人公の理穂も限界にきて、とりあえず美容学校に行ってみようと決心する。
根をつめず、この「とりあえず」がいい。まだ18歳、「とりあえず」精神で行こう。

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| 古本読書日記 | 06:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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三浦しをん 「天国旅行」(新潮文庫)

三浦しをん 「天国旅行」(新潮文庫)
自殺する気持ちは、生きることに絶望している、苦しみを逃れるすべがなく、もう死ぬしかないというところに追い込まれてしまっていることから発生する。
 でも、結構、死ぬことによってあいつに最後の抗議をしたい。あいつを困らせてあげたい。そんな想いが死を選ぶ動機や、エンジンになっていることも多い。死んでみてそれがどうなっているか、幽霊になってでてきて確かめる?死と生きることをなぜまわせて相対化する。死の世界にいることは、生きることが決して楽しいことでもないし、面白みもないということを教えてくれる。それでも三浦は生のほうが死よりいいし、希望もありそうってことをこの作品を通じて言っている。
 小説はあまりおもしろくない。扱っている生の世界は、巷にあふれている小説の世界。
それではつまらないから、死の世界を借りてつまらなさをテクニックでカバーしようとしている。でも扱う題材が平凡である限り、できあがった小説はつまらない。

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| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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朝吹真理子 「きことわ」(新潮文庫)

朝吹真理子 「きことわ」(新潮文庫)
2011年芥川賞受賞作。
混濁している。眠っているのか、目覚めているのか。今起きていることが夢のなかのことなのか、現実に起こっていることなのか。現実と夢のなかを朦朧としながら往来している。
 まだ幼かった25年前、この葉山の別荘に2人はきていた。そして、いろいろ遊んだりしゃべりあっていた。25年後、この別荘は別の人にわたり壊されることになった。
 それで、最後に別荘で2人は会う。それもあの日以来25年ぶり。
 まったく25年前から全く動かず、変わらない家、部屋がある。でも、家の外は大きく変わっている。
 記憶を互いにしゃべりあう。2人それぞれ心に記憶していることが合わない。そんなことあったけ。あれほど強烈に残っていたはずの思い出記憶が、家の周りも変わって、それが実際に存在したのか、夢なのか。そして会わなかった25年も、あったのかなかったのか混濁している。
 その混濁や不確かさが、更地となってしまった別荘とともに消える。でも不確かな現実は残る。

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中村航 「僕らはまだ、恋をしていない!」(ハルキ文庫)

中村航 「僕らはまだ、恋をしていない!」(ハルキ文庫)
青春で何より大切なのは友達であり友情だ。絆をより強くするために、力をだしあっていろんな困難を克服する。そして最も大きな壁を超えるために、困難に立ち向かい克服
しながらひたすら約束の地に向かってひた走る。
最後にいよいよ約束の地の扉を開ける。そうすると真っ暗だった暗闇に明るい光が差し込む。それは、友情の壁を越えて、恋への道への扉なのかもしれない。

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