FC2ブログ

2014年06月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年08月

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

井上靖  「ある落日」 (角川文庫)

井上靖  「ある落日」 (角川文庫)
550ページになる長編。
若いヒデ原は小杉に人生とは何かについて言う。
 人生とは人間が作っていくもの。自然にあたえられるものでなく、それぞれが個人の意志で自ら作っていくもの。だから人生というものに価値があるのだ。と
 それに対し、小杉は言う。
 人生というものは個人の意志や力ではとかくどうにもならない。箸にも棒にもかからない厄介なものだ。そう信じているんじゃなくて、そうじゃないかと思っている。
 ヒデ原がいう。自分と正反対だと。小杉は言う。
いやヒデ原の言うことは正しい。40でも、60でも、80歳になっても、俺の人生は俺の意志で作っているんだと言う。
 そして死に際に思う。人生というものは、結局どうにもならない。箸にも棒にもひっかからないものだと。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:36 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

中野重治  「甲乙丙丁」 (講談社文芸文庫)

中野重治  「甲乙丙丁」(上)(講談社文芸文庫)
中野重治  「甲乙丙丁」(下)(講談社)
久しぶりに途中で投げ出した。まず、作品が長い。1400ページにもなる。4-5巻分の分量がある。
 日本共産党の特に戦争直後から昭和30年代にかけての内部分裂史、対立史を知っていないとなにが書かれているのかチンプンカンプン。更に中野自身の共産党とのかかわりあいに対しての知識が必要。せめて、登場人物が仮名でなく、実名にしてくれれば多少興味がわくのだが。
 共産党は権力闘争を繰り返し、最終的宮本顕治の独裁党になり、最近までそれが続いた。
人間的にお前なんか大嫌いといって顔もみたくないと喧嘩別れでもすればわかりやすいのだが、「プチブルジョア」「極左冒険主義」「左翼日和見主義者」「トロツキスト」「修正主義者」など、理解不能の言葉をちりばめ嫌いな人を排除する。「アカハタ」の中央委員会声明や報告は、からっきし何を言っているのか凡人では理解できない。
 中野重治は味わいのある作品を書ける作家である。それが、こんな共産党内内の出来事に
膨大なエネルギーを注がねばならなかったことは日本文学の悲劇のような気がする。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

明日はボーナスです

だから、本を買いました。
「海街Diary」も買ったのですが、これは読書ブログなので、文庫本だけをご紹介。
高木彬光「刺青殺人事件」

IMG_7520.jpg

横に写っているのは、もともとじいやの本棚にあった本です。この人の本の表紙は、幼いころ結構怖いと思っていました。

「刺青殺人事件」は、古今東西の名作ミステリー小説を紹介するような本で知り、学生時代にも買いました。虚無への供物とか、不連続殺人事件とか、孤島の鬼とかも、その流れで購入したはず。
しかし、手放してしまいました。
再び読みたいと思って、ツタヤオンラインで注文してみたら品切れで、もう読む機会はないかと思っていたら、本日本屋で見つけました。復刊したようです。

神津恭介は、名探偵コナンのコミックスにある探偵を紹介するページでも、三毛猫ホームズやポアロや金田一耕助と一緒に、ちゃんと取り上げられていました。


by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 21:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

貴志祐介 「雀蜂」

なんとなく、もっと若い作者だと思っていました。
たぶん、「新世界より」のアニメ画や「悪の教典」のコミカライズを見て、こういうものの原作を書いたなら30代くらいだろうと、勝手にイメージした。
記憶をたどってみれば、「青の炎」や「黒い家」はずいぶん前に購入を検討したことがあったし(買いませんでしたが)、それなりに執筆歴のある人ですよね。うん。

IMG_7518.jpg

ミステリーとして、よくできていると思います。「あのシーンはどういうことになるんだ? どう説明できるのか? そういうことか!」と、種明かしされてからあれこれ思い起こして唸ることができます。
好みかと聞かれると、そうでもないです。主人公の性格や年齢の設定から考えれば、これは納得できる語り口・雰囲気なんですが、なじみにくい。

パニックものとしても、面白いと思います。「シャトゥーン ヒグマの森」という動物パニックものはトラウマもののグロさですが、これはそこまでじゃない。
でも、何の関係もない武松氏の死に方なんかは、ぞっとしますね。悲鳴がだんだん弱くなっていくのに助けに行けないという状況は「シャトゥーン」にも通じます。

「いきるもの ころすもの」という童話風の現実的なお話は、なかなか良かったです。
ブレーメンの音楽隊だって、ドロボウが残していった食い物がなくなったら、仲間の鶏が食われるのでしょう。
ヘンゼルとグレーテルが戻ったとしても、親は子供から金を巻き上げてあっという間につかいきり、また二人を捨てる。いや、もしかしたら少し大きくなった子供に売春させるかもしれない。(「おとぎのかけら」がそんな感じ)
虫の擬人化といえば、「風の中のマリア」もそうですね。

話題の作家さんの本を一冊読んだ。それだけです。
あんまり、立て続けに読みたいタイプじゃありません(´・ω・`)


by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 21:11 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

花村萬月 「眠り猫」

読み終えた直後は、ヒロインが「男性作家の小説にありがちな、情も色気も美貌もあって、適度に男を立ててくれる女」という感じがして、私の中ではあまり評価が高くなかったです。
他の登場人物みんな、彼女には心を開いたり喉を鳴らしたり。母性があって、プロポーションは完璧で、男性経験は少ない。
彼女を押し倒した若い男が、「この女は、これまで俺が相手にした女とは違う。こんな風に扱っていい女じゃない」と手をひっこめるほどの、一種の神々しさがある。
そりゃ、女性読者としてはイマイチな気分になるわけですよ。

IMG_7519.jpg

時間がたってみると、やっぱり彼女のような存在はあの小説に必須だったという気がします。
暴力に暴力を返す主人公(眠り猫)に対して、彼女が読者の代わりに反感を抱いたり、恐れを感じたり、もどかしい思いになったりしてくれるから、読みやすいのかもしれない。

アスファルトに顔を押し付け皮膚を焼く。電話帳を頭に載せてこん棒で殴れば、外傷はできないが脳みそは豆腐のようにつぶれる。組を裏切った若い者の睾丸をペンチでつぶす。そんな描写だけのアウトロー小説。
「どうしてこんなに冤罪が多いのかわかるか? 警察の拷問はこんなもんじゃない。
『警察は私たちを守ってくれる』? 自分の身を護るのに他人の力に頼るのは、奴隷の発想だ」
そんな刺のあるセリフだらけの社会派(?)小説。
それだけだったら、やっぱり読みづらいと思います。

横であれこれ考える「庶民」の彼女がいて、か弱く守られるだけでなく主人公のヘルプもするから、うまくバランスが取れているのでしょう。
それでもやっぱり、ちょっとクサいんですがね(;´・▲・)

続編、熱田のブックオフにはあったのですが、近所の本屋にはありませんでした。


by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 20:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

朝日新聞/産経新聞

朝日新聞を読むと、隣国中国、韓国と日本がいまだ首脳会談が開かれず異常な状態におちいっているとする。そればかりでなく、安倍政権の集団的自衛権行使容認や靖国参拝により、中韓のみならず、世界に日本は不安をまき、孤立感を一層深めていると世界の学者の発言を紹介する。
 一方産経は、中国の力による現状変更には世界は強い警戒感をもち、中国に反対する姿勢が大勢、中韓こそむしろ孤立感を深めていると今日の新聞でも力説する。
 どっちがどっちとは簡単には決められないのだろうとは思うが、どうして同じような記事で180度も違うようになるのだろう。
結構不思議。
 そういえば昨日の毎日新聞の配信で、日韓関係が最悪のため、日本から韓国への旅行者が大幅に減り、韓国観光産業は大打撃をうけているという記事があった。これもどことなくおかしい。日本からの観光客は減っても、それを補ってさらにおつりがくるほど中国からの観光客が増加しており、韓国を訪れる観光客は全体では増加している。韓国観光産業が打撃を受けているというのは本当なの?


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 08:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

井上靖   「三ノ宮炎上」 (集英社文庫)

井上靖   「三ノ宮炎上」 (集英社文庫)
短編集。幾つかは他の本で読んでいる。
最初の作品「眼」が印象に残る。
辰也は小学校4年生。泳ぎができない5人とともに、代用教員で19歳の須藤操先生と伊豆の小さな村の海岸に泳ぎを覚えるために夏休みにやってくる。
 そこで須藤先生にそそのかされて、2人で小さなボートで沖にでる。ボートが波に捕われ、オールを漕いでも進まなくなる。波に浚われ一日中漂い小さな島に夜打ち上げられる。須藤先生は疲れ切っていたが、辰也を冷やさないためと、眠らさないために、体を包んで、唇を何回も辰也の唇に押し当てる。
 その時の体験がその後の辰也の人生の節目、節目でよみがえり、辰也を深く悩ます。
須藤先生はその後、その不祥事で学校を追放される。辰也が須藤先生に会ったのは二十数年後、須藤先生はそのとき重病で、病院に入院している。
 辰也があった先生は、顔を包帯でまかれ、眼だけが見えそれが異様に厳しくみえる。
そして「ご迷惑をかけすみませんでした。」と一言。そして先生と別れる。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

吉行淳之介  「娼婦小説集成」 (中公文庫)

吉行淳之介  「娼婦小説集成」 (中公文庫)
殆どすべての作品が既読。「原色の街」の以下の部分が強烈に印象として残る。
「気に入るということとは愛することとは別のことである。愛することは、この世の中に自分の分身を一つ、持つことだ。それは、自分自身にたいしての、さまざまな顧慮が倍になることである。そこに、愛情の鮮烈さもあるだろうが、怠惰な彼は、わずらわしさが倍になることとしてそれからわざと身を遠ざけていた。
 だから、彼は、この女を気に入っている、ということ自体も、気に入った。と同時に、こんな錯綜した精神の操作をして、安逸な時間を持ち続けようとする自己を、冷たい眼でみていることにも、気付くのであった。」
 もちろん女性に対してのことを記述しているのだが、ここで女というところを今話題沸騰している「集団的自衛権行使容認」に置き換えたらどうなるのだろうか。そんなことを思ってしまう。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

重松清  「ポニーテール」 (新潮文庫)

重松清  「ポニーテール」 (新潮文庫)
お父さんにも連れ子がありお母さんにも連れ子がある。この父母が再婚する。連れ子が姉妹となるのだが、姉妹の関係が難しい。
不思議な作品だと思って読む。お父さんが存在するはずなのに、三分の二まで全くお父さんが登場しない。そこを過ぎて、クリスマスプレゼントや土鍋料理のところからお父さんが活躍する。そこのところが重松流、これで感動しろという最も力が入っている部分。
 面白いのはそのクライマックスのところでは、誰も泣いたり涙がにじんだりしない。ところが、クライマックスの前の部分、多分重松も適当に流している部分では、ちょっとしたことで、泣く、泣く、泣く、涙、涙。のオンパレード。
 ここが重松の良くない部分。安易すぎる。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

今日(7/8)の朝日新聞は変

今日の朝日新聞はどこか変。
一面トップが親の過去の窃盗や傷害事件のため、戸籍もなく隠れて育った17歳の女性の悲劇のルポ。確かにこの17歳の女性や家族は悲劇の生活を強いられ気の毒ではあるが、一面トップの記事としてふさわしいかは疑問だ。もっと普遍的で社会に影響を与えるニュースは昨日もたくさんあった。このようなルポ、しかも理性でなく読者の感情に訴えようとする事象は、3面でも4面でも大いに使ってこれでもかと訴えればよい。一面にこんなルポを持ってきてはいけない。
 更に、昨日は安倍首相がニュージーランドの首相と会談、集団的安保の理解や中国の力で現状を変更することに反対することを両首脳が確認している。
 で、新聞をみると、安倍首相とニュージーランド首脳会談についてのニュースは4面で、殆ど内容に触れていない。
ところが、その1ページ前の3面では、でかでか習近平中国主席が盧溝橋事件記念式で、日本を大批判、メルケルドイツ首相と李首相階段でも李首相が日本を非難と取り扱う。
 何だか日本の首相は習近平かと錯覚してしまう。よく日本はアメリカの属国とマスコミは批判するが、何だか朝日新聞を読むと日本は中国の属国だと思ってしまう。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 11:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

中島京子  「花桃実桃」 (中公文庫)

中島京子  「花桃実桃」 (中公文庫)
アラフォー。この言葉から連想される女性。微塵の暗さも、動揺もこの言葉は感じさせない。社会でも、会社でも、中心を闊歩し、颯爽と風を切って生きている。一流ブランドを着こなし、一流レストランを食べつくし、集まればビジネス、恋、旅、趣味をしゃべりつくす。常に男も、地位も高く、颯爽としている男にしか関心がない。
 でもアラフォー、そんな女性ばかりではない。社会の波にふりまわされ、独身だから次の職も探しやすいだろうと思われ、首切りリストラに遭う女性だってたくさんいる。
 主人公茜はそんな女性。父の遺産、ボロアパートを相続し、アパート管理を始める。そこに住んでいる変人たちとの交流を物語は描く。
 人生に詰まった茜に、友達のバーテンダーの尾木の言葉がいい。
「テンダーは優しいって意味でね。人の涙を自分の涙と感じる能力からくる言葉だそうだ。自殺を考える人が人生最後に立ち寄るのがバーで、そういう人に旨い酒を出すのがバーテンダー」

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:40 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

奥田英朗  「我が家の問題」 (集英社文庫)

奥田英朗  「我が家の問題」 (集英社文庫)
奥田の最初の頃の作品は、パンチもありユーモアも切れ味がするどかった。歳を重ね話が実に穏やかになってきた。だんだん重松清に似てきた。
 この短編集も日本のどこにでもいる普通の夫婦を扱って、暖かさに包まれた作品を収録している。
 「里帰り」がよかったかな。
実家が札幌と名古屋で東京に住んでいる新婚夫婦。夏休みの里帰り。故郷の両親や、親戚との会話やしきたりを思うと、里帰りを躊躇する。
 いやいや行った里帰りで、互いの知らない部分を発見してびっくり。特段に会話が弾むわけではないけど、それぞれの故郷や家庭の味わいがよくでていて、固くなっている妻や夫をやわらかく包んでくれる。そして新婚夫婦は次の里帰りが楽しみになる。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:39 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

原田マハ 「楽園のカンヴァス」 (新潮文庫)

原田マハ 「楽園のカンヴァス」 (新潮文庫)
アンリ ルソー。現在はモダンアートの先駆者であり、かのピカソに多大な影響を及ぼした画家として知られている。しかし、現役時代は、あまりにも描く作品が先走りすぎていて全く売れない。税関の仕事をしながらの創作であったので、哲学者ルソーに対して「税管吏ルソー」と皮肉まじりにいわれていた。
 そのルソーの最高傑作が「夢」という作品。ルソーの最愛の恋人、全裸のヤドヴィカが描かれている。人差し指がどこ皮指している。ところがもうひとつ同じ構図の作品がある。その作品はある富豪コレクターが所有している。それが本物か贋作か、ルソーをこよなく愛する2人の研究者が、富豪によばれ鑑定することになる。もうひとつの作品は「夢をみた」という画題。差し出した手は「夢」と違って何かを握っている。
 何を握っているのかが最後謎として残る。それと、「夢をみた」はあのピカソとルソーの合作ではないかという夢のような推理があり、実に楽しく興味がわく作品に仕上がっている。
 原田マハは作家になる前、ある美術館のキュレーターをしていた。美術、絵画を本当に愛している気持ちが読者にもひしひしと伝わってくる。この作品で山本周五郎賞を獲得している。そう遠くないうちに直木賞を原田は獲得すること間違いないと思う。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:32 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

柴田翔  「われら戦友たち」(文春文庫)

柴田翔  「われら戦友たち」(文春文庫)
高校の頃観たアメリカニューシネマを思い出す。「卒業」「俺たちに明日はない」「明日に向かって撃て」「イージーライダー」「いちご白書」。
 権力や、既成道徳、秩序に立ち向かう。でも必ず蹴散らされ後は筋書が描けず殺されるか自死する。「卒業」のように一見既成道徳に打ち勝ったように見えた2人のその後の将来は暗く悲しい。
 ニヒリズムの小説である。人間の本質は狂気。怒り、恨み、憎しみ、蔑みが根底にある。それを民主主義とか、博愛、平等、平和、信頼、絆など、飾った言葉で押さえつけようとしている。しかし、本質は時に爆発する。それは、柴田が好きな、忘れかけていたがちゃんと刷り込まれているあの若い頃の恨みの行動につながって噴出する。しかし、噴出した後、明日はなく、虚無の世界だけが残る。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

今日の2冊

「眠り猫」を中断し、違うものを読みました。

まず、宮木あや子「花宵道中」。
R18文学賞受賞作とその関連作なので、舞台が吉原なので、性描写が多いです。
たまには時代物もいいですね。
私は、毎日髪を洗わないと落ち着かないので(身体は流すだけでも平気)、油を使って髪をセットすれば三日間崩れないとか、夏は虫がわくとか、想像しただけでもかゆくなります。
どの話が一番いいかって、やっぱり最後の大門切手かな。年をとっても縁が続いているというあたりが。
短編集で、登場人物も重なり合っているのですが、誰が誰の姉女郎で、誰と誰が親戚で、と複雑になっています。
女たちはそれぞれに個性があると思うんですけどね。

二冊目が、橋本治「夜」。
ストレートに「あんたが欲しい。苦しい。会いたい。置いていかないで」と心情が描かれている作品の後で、こういう本を読むと、ギャップがすごいですね。
ぶっちゃけ、どの話も登場人物の考えが分かるようでわかりませんでした。あとがきで作者も「あいまいで不透明が前提」と書いてます。
読者にも理解できませんが、登場人物が接している人たち、恋人・愛人・子供にも理解されていません。
誰もが、自分の中で妥協したり、折り合いをつけたり、賭けてみたり、納得したりです。理解しあって満たされたという場面はありません。
「死にたい」と思っている人もいますが、「花宵道中」みたいな激しい感情は見当たらない。舞台としている時代がバブル後ということもあるんでしょうね。
月並みな言い方ですが、みんな孤独だし見たいものしか見ないって感じです。
「四十を過ぎて結婚していない男はおかしい。「何をやっていたんだ?」という不潔感がある」ということは、以前同僚も言ってました。

「夜」は、熱田のブックオフで買いました。名古屋まで行って、帰りに立ち寄るのは服でも雑貨でもグルメでもなくブックオフ。
余分な地下鉄代も、古本の値段も、それぞれ四百円(´・ω・)


by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 23:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

柴田翔  「鳥の影」 (新潮文庫)

柴田翔  「鳥の影」 (新潮文庫)
会社は仕事を与えているわけではない。仕事をさせてくれるよう常に会社にお願いしている。だから、社員はいつも仕事をしていなければならないし、仕事で忙しくたちふるまわねばならない。ましてや、勤めている会社が一流会社であれば猶更だ。
 一流会社のエリートを装っている人間は、仕事が命、人間関係も仕事のためであることが全てになる。家族を顧みないなど当たり前。親が亡くなっても葬式などには行きたくない。たとえ出席しても、数時間で「俺には仕事があるから」とそそくさと立ち去る。
 お前たちと違って、一流会社の一流社員だから、当然まわりも自分のことはわかっていると思っている。完全に当人は気付いていないが傲慢がある。一流会社の一流社員であることは、当人が思うほどの幾何もまわりは雹かしていない。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 11:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

柴田翔  「立ち盡す明日」 (新潮文庫)

柴田翔  「立ち盡す明日」 (新潮文庫)
青春の頃の流行り言葉に「ギマン的」という言葉があった。他人を批判したり、他人の生き方に納得いかないとき、すべて「ギマン的」という言葉で片付けていた。そんな決定的な言葉を言われないようにどこかいつも身構えていた。非難、批判の連続の言い合いは真剣を装っていたので、最後は互いにすべてを決別させ、後味が悪い別離を必ず伴っていた。
 一流銀行の調査室に勤務する考策は、いつしかそんな青春の苦い思い出はもちろん忘れ日々普通の生活をしていた。そこに、暗い過去を持った、従妹の由紀子を自分の家に向かい入れ同居することになる。
 そこから、考策と妻聡子との結婚にはもともと愛のかけらもなく、ギマン的結婚でありギマン的生活が繰り返されていることがわかり、いやな学生時代の苦い思い出が消えずに今も続いていることを知る。
 「ギマン的」をもてあそび、発しているうちに自分たちそのものが「ギマン」になり崩壊してゆく。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 11:58 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

思い出のマーニー

読み終えたので感想を。 ネタバレになります。

映画の公式サイトも見てきました。風車小屋がサイロに、イギリスの湿地帯が北海道に、地元の豚みたいな子と口げんかするというくだりが祭りでもめる事件になっている……というわけですな。
マーニーは主人公であるアンナのおばあちゃんで、時をこえて少女時代のおばあちゃんと遊び、ひと夏の思い出を作っていたというオチです。
物心つく前におばあちゃんから舞台である湿地帯の昔話を聞かされ、絵なんかも見せられていたから、実際にその地を訪れたアンナが妄想たくましく「この地で寂しい思いをしていたお嬢様」を作り上げたともいえるわけですが。

しかし、映画も同じなのだろうか。
金髪碧眼のマーニーの孫が、日本人らしい杏奈ということになるわけだよなぁ。(ジブリのキャラは目がパッチリしているけど)
翻訳物の児童文学で、
「マーニーの娘はスペイン系の男性と結婚したから、孫であるあなたは浅黒い肌に黒髪の癖毛なのよ。養子になるとき、マリアンナからアンナに名前を変えられたのよ」
と説明されれば、なるほどねって感じなんですが、日本人となると……ねぇ。
「あたしいま、すっごいことに気づいちゃった。健君はイギリスクォーターなの? モテるでしょ?」みたいなセリフが出てきたのは、日渡早紀の「未来のうてな」だったかな。
なぜ、舞台が日本なんだろうか。いや、でも、結末が原作と違うという設定もあるか。
おばあちゃんだったというのは出来すぎな気もするし。

たぶん、映画は観ません。


by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 22:44 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

週末の読書

静岡駅から消えたデンマルクカフェですが、豊橋駅ビルには残っています。母は、デンマルクカフェのシナモンロールが好きだそうな。
というわけで、仕事関連の研修で名古屋まで行ったら帰りは名鉄にし、豊橋で途中下車。

豊橋駅ビルには、豊川堂という本屋が入っています。「とよかわ」ではなく「ほうせん」らしい。
今日は三冊購入しました。

140705_1947~01

豊橋ー袋井間でマーニーの前半を読み終えたので、今夜中に後半も読めるかと思います。
映画では舞台を日本にしたみたいですね。別に、原作通り英国でもいいような気がするんですが……アリエッティも日本人の名前がついているのが変な感じだった。

雀蜂は、先日ジャスコの本屋できになったものの買わなかったやつです。
花宵道中は、先日別の読書日記で紹介されていたような。タイトルは知っていたし、漫画になったものを見かけたこともあるのだけれど、手に取らないままでした。

明日も名古屋です。5時半起きです。
電車の中用には、今日買っていった本じゃなく、これを持っていこうと思います↓

140705_1948~01

眠って乗り過ごしたりして(´・ω・`)


by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 21:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

樋口有介「八月の舟」

「火葬場は、カソウバですか? カソウジョウですか?」

電車の中で読んだのですが、時々ふきだしました。文庫本のあらすじにはノスタルジーとか青春とか書いてあるんですがね。
「白雪姫だって糞するし、屁もこくんだぜ」
とか、
「朝からサンドイッチを作ったの」
「へぇ、(いろいろはみ出しているし、まずそう)パンから焼いたわけ?」
「わかる? そうなのよ」
とか、
母親の骨壺を見ながら「小さくなっちゃて。お袋、最後の最後でダイエットに成功したな」とか。
……最後は笑うところじゃないかもしれませんが。

このお母さんというのがなかなかいいキャラで、受け持っている生徒にイナゴをとらせて(1960年代が舞台です)自分と息子の夕ご飯にしたり、吸血鬼みたいな服を普段着にしていたり。
死んだ後も、焼きあがった骨がバラバラになっていて、息子に「お袋のことだから、気に入らないことがあって頭の骨をけっ飛ばしたのかもしれない」と思われている。

140705_1946~01

いい話だと思います。
不良(?)の主人公が地の文で「田中くん」「晶子さん」と呼んでいることに違和感があり、乗り換えなんかで一度本を閉じると、再び読むときに入りづらいところがありました。それが難といえば難ですね。
飲酒運転とか、高校生のタバコとか、喫茶店の床に唾を吐くとか、そのへんは舞台が古いことを考慮すれば別に引っかからない。
主人公が距離を置いた語り方をしているからこそ、終わりごろの、母親がもういないことを感じて号泣するところや、実父と会ってぎこちなく会話するところが、印象的になるのでしょう。たぶん。

適度に方言ぽい言い回しがあるのも良いです。
地元も、「カソウバ」と言うと思う。

by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 20:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

三浦綾子  「海嶺」 (角川文庫)

三浦綾子  「海嶺」(上)(角川文庫)
三浦綾子  「海嶺」(中)(角川文庫)
三浦綾子  「海嶺」(下)(角川文庫)
千石船「宝順丸」で江戸に向かう途中の遠州灘で暴風雨にあい、操縦不能となった船とともに漂流。14人いた乗組員は壊血病で次々亡くなり、岩吉、久吉、音吉だけが漂流1年2か月を経て生き残り、アメリカサンフランシスコ沖に漂着。その後3人は、インディアンの奴隷となり、そこでイギリスの商社に救われバンクーバー、ロンドン、喜望峰をまわり、マカオまで到達。そこでまた一年滞在し、日本をでて4年半後にアメリカ商船モリソン号にのり日本に向かうが、日本では鎖国、島津藩に追い返され、3人は結局日本の地は踏めず、異国で生涯を終えたという壮大な物語。
 三浦は3人の運命に重きをおかず、キリスト教の神髄を描くことに重きをおき、かなり説教臭が匂う作品になっている。また、3人が滞在する幾つかの異国の地も、19世紀中頃の風景、文化の香りが殆どない。ロンドンは安直な旅行パンフレットの雰囲気。
 壮大な構想のわりに、薄っぺらな印象ばかりが残る作品である。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 10:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

井上靖  「青衣の女」(角川文庫)

井上靖  「青衣の女」(角川文庫)
深さと広がりの乏しい小説である。
画家境介、その生活、画家としての仕事が全くでてこない。この境介を愛する人妻暁子、夫家庭がある戸惑い、ためらいが全く境介との恋に生じない。また、境介には病気療養中とはいえ珠江なる妻がいるが、作中殆ど登場しない。それどころか浮気をしているやましさの中
境介の心の動きにも全く登場しない。更に、姪っ子のれい子が、暁子と境介の奪い合いに参加する。そのれい子には一旦は離れた婚約者八田がいるが、八田が復縁を迫るとれい子が断る。すると八田が「わかりました」だけでひきさがる。
 何だか黒白だけが埋め込まれているロボットの劇をみているような作品。人間ドラマにはとても思えない。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:37 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

アンソロジー 「夏休み」(角川文庫)

アンソロジー 「夏休み」(角川文庫)
ひとときの夏を描いた短編集。殆ど集められた作品はかって読んだことがある作品。
掘辰雄の「麦藁帽子」。野球をベースボールといわずにベエスボウルとしたり、英語でなくイギリス語と表現したり。一般の作家では嫌味になるが掘の文章技術になるとピタリとはまるから不思議である。
 堀より面白い作品。万城目学の「ローマ風の休日」角田光代の「夏の出口」そして圧巻は何といっても小川洋子の「再試合」。
 いずれも以前に感想を読書日記で書いたので今回はやめておく。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:36 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

柴田翔 「ノンちゃんの冒険」

これは、五歳のノンちゃんが、遠くに暮らすおばあちゃんを訪ねるべく、一人で電車やバスを乗り継ぐ成長の物語。
……ではなく、十九歳無職のノンちゃんが妊娠してしまい、女から女へたかり歩くような彼氏とは連絡が付かず、堕ろすっきゃないと思っていたところを親切なオジサマに拾われる話です。

たぶん、十代前半に読みました。冒頭からベッドシーンなので、エロいなぁと思いました。そんなもんです。
話はそれますが、同時期に伊集院静の「水の手帳」か何かも「エロがあった!」と読書メモに書きました。初々しい時代もあったのです。(遠い目)
彼氏が変なあだ名であることや、ノンちゃんが無事に出産することなど、あらすじやちょっとした設定は覚えていました。

140703_2216~01

再読して驚いたのは、「親切なオジサマ」が若かったこと。大きな会社を退職し、家賃収入に頼って生活していることから「年金さん」と呼ばれているのですが、実年齢は40歳前です。
最初に読んだときは(自分も若かったから)、若いぴちぴちの女の子が優しい金持ちのじいさんに助けられる構図だと思っていたわけですがね。
今の40歳は若いです。これから結婚して子供を作ってもなんらおかしくない。「もう平均寿命の半分は生きた。何かを新しく生み出すことはない」と余生モードに入ることはない。
もしこの本が今の時代に出されたら、ずいぶん枯れている(さとっている?)おっさんだと思われるでしょう。逆に言えば、時代とともに精神年齢が下がってきているのかもしれないですね。

一緒に写っているのは、作者の芥川賞受賞作です。読んだことはありませんが、偶然じいやの棚で見つけました。
「おキャンな娘」とか「連合赤軍」とか出てくることや、文体から、作者は橋本治や田中康夫あたりの年齢だろうかと思いました。が、調べたらもっと上でした。
こういう、登場人物たちが難しいことを考えている話はわりと好きです。
先日読んだ「にゃんそろじー」に「生きる歓び」という短編が入っていますが、この話もそんな感じですね。新たに生まれてくる命を肯定的に捉えている。

読了後、「BG」の意味をググりました。読んでいる間はあえて調べず、「バンクガール? ビッグガール? ビジンギャル?」と適当に予想をしておきました。
今度、OLの代わりに使ってみようか……通じねぇだろうな(ー▲ー)

by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 23:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

石原千秋 「名作の書き出し 漱石から春樹まで」

実は、まだ2章ばかり残っているのですが。

140703_2237~01

登場した本のうち、じいやの本棚で発見できたものと一緒に並べてみます。
川端康成コーナーや三島由紀夫コーナーもあるのですが、雪国も金閣寺も見つからず。
私は、「キッチン」と「スプートニクの恋人」は読んだ記憶があります。(「金閣寺」も、たぶん読んだはず)
「それから」は、ビブリアを読んだ後で興味を持ったのですが、途中で飽きました。じいやに「草枕」を薦められたこともあったような気がしますが、これも挫折しました。
吉本ばななの文体について解説した章を読み、先日「ハチ公~」を読んだときに抱いた違和感みたいなものも、何となく説明してもらえたような気がしました。

向田邦子、私の使った教科書にも載っていた気がします。
このタイトル、「今なんて言ったの? 他のこと考えて君のことぼんやり見てた♪」的な、「……あ、うん。訊かれてついうなずいちゃったけど、何の話?」じゃなく、阿吽なんですね。
十数年勘違いしていました。読書家の娘にあるまじき(・ω・;)

by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 日記 | 22:57 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

久保寺健彦  「ハロワ!」 (集英社文庫)

久保寺健彦  「ハロワ!」 (集英社文庫)
知り合いにハローワークの就職相談員をしている人がいる。少し理屈っぽく更に、一流会社に勤めていたので相談者の相談を受けるよりすぐ、説教口調になり延々と相談者を責めてしまう。それで、時々相談者から苦情があり、統括官という指導者からお叱りを受ける。
 彼の態度もよくないとは思うが、彼が愚痴を言いたくなるほどに、変わった相談者がたくさんやってくるのだろうということは想像できる。
 この物語はその変わった相談者のやってくるさまを物語にしている。着眼が面白い作品である。最初はその面白さに引き込まれるのだが、途中から、変な相談者がありえない相談者に変わり、そして平凡な恋愛物語になり失望した。竜頭蛇尾な作品。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:36 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

中村航  「トリガール」 (角川文庫)

中村航  「トリガール」 (角川文庫)
大学で始めたら、大学を卒業したら必ず終わる。人工プロペラ機を漕いでその距離を競う「鳥人間コンテスト」。その選手権出場を目指し、プロペラ機を作り、鍛えに鍛えた足こぎパイロットが操縦して琵琶湖の湖上を飛ぶ。一年に一度しかない戦いに向かいひたすら飛行機作りと体の鍛錬をする。それが4回。そして、それが終わればもう飛ぶことはまずない。青春と大学生活のすべてをかける。
 この物語では、パイロットコンビであるゆきなと板場先輩の熱いパイロットチャレンジを追う。2人の飛ぶことにかける情熱とそれにつれ育まれる恋心が読者を引き付ける。物語最終場面2人が鳥人間コンテストで飛んでいる場面は素晴らしい。
 中村の爽やかでピュアな文章が物語を輝かせている。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:33 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

西加奈子  「地下の鳩」 (文春文庫)

西加奈子  「地下の鳩」 (文春文庫)
本のタイトルにもなっている「地下の鳩」と「タイムカプセル」中編2編がおさめられている。
「タイムカプセル」はいじめのトラウマを扱っている。夜の世界は嘘が許される世界である。
小さい頃であれ、社会人になった今であれ、いじめの恐怖は心の80%以上を占める。
夜の世界はそれを嘘で抑え込んでくれる。昼と離れてピシっとスーツで決め、そして大げさに笑い、胸もはれる。でもそんな胸を張っていたとき、いじめをしている男が客としてはいいてきたら。
 ミミィの嘘と真剣に向かい合って、真っ正直に懸命に嘘をついてきた姿が痛々しいけどまたすがすがしい。
 「地下の鳩」は織田作之助の世界を彷彿とさせる。40歳で、クラブの客引きをしている吉田。瞼の大きさが不揃いのチーママみさをとの純真でいて、どこか崩れている恋に浸る。40歳の浮草。未来などあるわけでもない。恋を俺はしているのだ、恋せねばならない、でも恋はしてないかもしれない。そんな心の揺れが切ない心情を西が切なく描く。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:45 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

三浦綾子  「水なき雲」(中公文庫)

三浦綾子  「水なき雲」(中公文庫)
まさに力作長編である。
亜由子の姉、佐貴子は長男俊磨の東大入学に全人生をかけている。俊磨も期待に答え小学校から高校まですべて成績一番で通す。佐貴子は勉強を妨げることはすべて排除する。特に中学校から高校は、異性や女性ヌードで俊磨を悩ませてはいけないと考える。それで中学校から佐貴子は俊磨と一緒にお風呂にはいる。そして一緒に肉体関係をもつ。果ては、関係を確実にするために、二人で過ごせる家まで別に建てる。
 そして当然のごとく俊磨は東大に合格する。合格発表の日に俊磨は合格をしると、頸動脈を切って自殺をする。
 この物語の優れているのは、俊磨の従弟の純一に俊磨の母と俊磨の関係を一見させ、どうして俊磨が自殺したか、純一に想像させるところ。ということは俊磨の自殺や人生に対する悩みは明白になっていないのである。
 そこに人の深さ、とらえきれないところがあることを三浦はうまく表現している。そして物語は自殺からさらに奥深く進む。すばらしい小説である。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

三浦綾子  「心のある家」(講談社文庫)

三浦綾子  「心のある家」(講談社文庫)
エッセイ。
「60余年前の声」というエッセイで、三浦が子供のころ仲良く遊んだ久江さんという友達から60年以上もたって手紙がきたと書いている。
 なつかしくなって、色々手をつくして会う。それがうれしくてたまらないことを三浦は言い、最後にこの前に読んだ「続泥流地帯」で私が引いた感動的言葉を書く。
 400ページを超える「続泥流地帯」で三浦が言いたかったことと、私が心に響いた言葉が一致していたことがとても嬉しかった。
 信仰は別として、三浦には不思議と思うことが2つある。これだけたくさんの読者を持ち、人間を誠実に描き、感動作品をものにしているのに、朝日新聞懸賞入選は別として、多々ある文学賞をひとつも獲得していないこと。賞をとることが作家の目的では無いが、これは異常におもえる。余程選考を担当する作家が嫉妬か何かで三浦を嫌っていなければありえない。
 それから、三浦が生まれて死ぬまで旭川を全く離れていないこと。せめて学生時代は東京までいかなくても札幌に行ったとか、そういうことさえ無い。これも稀有だ。
 このあたりをひもとけば三浦の魅力がわかるかもしれない。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 08:24 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT