FC2ブログ

2013年12月 | ARCHIVE-SELECT | 2014年02月

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

 「渡された場面」 松本清張

松本清張 「渡された場面」(新潮文庫)
発想が素晴らしい。
あまり文才のない、地方の同人雑誌の作家。その彼女が女中をしている旅館に執筆のため
ある中流の作家がやってくる。彼女は作家が散歩中、作家の部屋を掃除していた際みつけた、作家の書きつけていた6枚の原稿を書きうつし、それを恋人の同人雑誌作家にあげる。
 中流作家が心臓発作で亡くなる。それを待っていたかのように田舎自称作家が同人雑誌に6枚の原稿文を挿入した作品を載せる。中央の文芸誌に、その作品、どうしようもない質の低い作品なのだが、その6枚文のところだけ、際立って素晴らしいと著名な文芸評論家が褒める。
 6枚文のところは、実際は四国のある場所をそこに行かないととても書けないほどに細かい風景が描かれていた。しかも、その場所で殺人事件が発生していた。当然田舎作家はそんな場所に行ったことがない。ここからぞくぞくする展開が始まる。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 22:53 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「球形の荒野」 松本清張 

松本清張 「球形の荒野」(上) (文春文庫)
松本清張 「球形の荒野」(下) (文春文庫)
これぞ清張の特質を最も発揮させたミステリー。不可解、不思議な出来事が次々起こり、読者を決して休ませず一気に最後まで連れてゆく。出来事がうまく配置されている。
 映画化、テレビドラマ化が繰り返しなされている。
戦争末期、スイス日本公使官の書記官野上。スイスで病死したことになっていたが、実は秘かにイギリスにわたり、日本の政府、軍の情報を連合軍側に流しす。日本国を裏切る行為をしていたのである。日本敗戦となったが、野上は死亡したことになっていたから、この世に存在しないことになっている。
 そんな野上が終戦17年後、日本に現れる。ここから怪事件が次々起きる。
この作品を読むと清張の意図とは反するかもしれないが、日本人の多くは欧米とは戦争したくなかったように思う。戦前も文学、音楽、映画で日本人は欧米の影響を強く受けていたし、欧米はあこがれの対象でもあった。映画などは戦争の最中でもチャップリン映画など映画館で見られた。戦争後、あれだけ嫌悪し憎悪の対象だった欧米をすぐ日本人は受け入れた。安保闘争とか反米闘争は数々あったが、やっぱしアメリカやその文化を受け入れる大衆のほうが圧倒的に多かった。日本占領をもしソ連や中国だったら、日本には革命がおきていたような気がする。そんなことを思わせる作品だった。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 21:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「奇妙な被告」 松本清張 

松本清張 「奇妙な被告」(中公文庫)
まったく清張想像力は無限なのか、どこからか材料を仕入れてくるのか、とにかく常人の想像力をはるかに超えている。
 中華そば屋を始めた植木は、資金不足のため、店舗改築費用を高利貸の甚平衛から借りる。利子が雪だるま式に増え、とても払えないほどになる。
 そんなとき甚平衛が棒のようなもので夜中に殴りころされる。甚平衛に恨みのあるものの犯行と警察では考え、関わりある人間のアリバイを調べ、その中でアリバイのない植木を犯人として特定して、逮捕し取り調べをする。
 調書によると、植木は積極的に自白をする。
いつ殴ったか。
 「戸をあけたところ、甚平衛が座布団を敷いてくれたので、それに座った。それで金をもってきたから受け取りをくれと言った。そこで甚平衛が金庫にむかってふりかえったときここをチャンスと思って背後から薪で思いっきりぶんなぐった。」
 「薪は屋外に積み上げてあった薪を腋に差してもっていった。その薪はこのとがった薪だ。」と5-6回殺しに使った薪をふりまわしてみせる。
 ところが裁判になると一転犯行を否定。警察の自白強要に耐えきれず自白してしまったが自分はやっていないと。警察は当然自白強要はしていない。被告は積極的に自白したんだと抗弁する。
 で植木は言う。だいたい甚平衛は、金借りがやってきたときは座布団は決してださない。
殴った後は頭は扁平にへこんでいる。三角の薪では扁平のへこみができるわけはないと。
 その結果無罪をかちとる。
植木は最初から計画してうその自白をして、警察をふりまわして、無罪を勝ち取ったのが
真相。警察の上手をゆく殺人犯植木に読者は驚く。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 21:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「聞かなかった場所」 松本清張 

松本清張 「聞かなかった場所」(角川文庫)
殺人の舞台は、私の生まれた町、長野県富士見町。
被害者の妻が、肺がんを患っていて、富士見町の療養所に入院している。その妻を見舞いにいく途中で、浅井という農林省のノンキャリアに岩で頭を殴られ被害者は殺されるのである。
 下級官僚の、業者へのふんぞりかえりとそれとは逆にキャリア官僚への極度のへつらい。
その哀れさをしみじみと描いた佳品。
 私のふるさとを味わってほしいから緑色。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 21:15 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「黄色い風土」 松本清張 

松本清張 「黄色い風土」(講談社文庫)
それにしても長い。一冊で750ページ。400ページの本というのは一般の本では大長編だ。その400ページを読み終わってもまだ350ページもある。重いし寝ながら読むと
ものすごく肩が凝るし。
 私の小さい頃はよくニセ札事件というのが起きた。偽札遊びなんてのも流行ったことを思い出す。今ほど精巧でなくニセ札を作りやすかったんだろう。それで刑罰なんかもどんどん重くなった。今のお札は精密精巧で同じようなものを作っても原価が高くなりわりがあわなくなった。それであまり偽札事件は起こらなくなった。
 終戦真近、日本軍は最後の戦争勝利の手段として大量の中国紙幣、およびドル紙幣の偽札を作り、これを中国で流布させ、中国経済を完全破綻させることを実施しようとした。
 この話どこかで読んだが結局紙幣を積んだ船が爆沈させられ計画は失敗したと記憶している。
 清張の長編では偽札つくりの残党が偽ドル紙幣をつくりいろんな事件を起こす。作品が発表された当時は偽札作りが身近にありリアリティがあったが今読むとあまり実感がわかない。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 18:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

 「赤い氷河期」 松本清張

松本清張 「赤い氷河期」(新潮文庫)
この作品は平成元年に刊行されている。このころはエイズの恐怖が世界に蔓延していた時だ。その恐怖を背景に、清張が未来2005年のヨーロッパの姿を想像して書いたサスペンス作品である。
 それにしてもあれほど人類を恐怖の坩堝に落ち込ませたエイズは今とんと聞くことがなくなったがどうなってしまったのか。
 エイズ誕生には2つの説がある。一つは中央アフリカのミドリ猿が持っていたウィルスが人間に感染したという説。もうひとつはアメリカの化学兵器研究所での兵器開発開発途上で突然変異のウィルスが発生、これが外部に拡散した。拡散はアメリカが兵器として使ったから。
 清張のこの作品は、ヨーロッパで消滅させられた王党派の信望者が、王制復活のためにエイズウィルスを使用している推理によって作られている。
 エイズは麻薬などと結びついて若者に流行する。ということは若者がどんどん死んでゆく。清張の作品では、ヨーロッパ各国で15%の若者が毎年減ってゆくと書かれる。若者が減ると、戦争が国としてできなくなる。エイズは戦争撲滅のために役立つ。こんな物語を読むにつけエイズって今はどうなったんだろうと思う。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 18:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「詩城の旅びと」 松本清張

松本清張 「詩城の旅びと」(文春文庫)
プロ野球は、テレビ放映権料やスポンサー料はすべて球団との契約で決まる。従って金は球団にはいりプロ野球機構には入らない。時々スポーツ知ったかぶり評論家がこの方式を非難する。プロ野球機構がすべて契約して、それを公平に運営費として各球団に分配すべきと。Jリーグはそれで成功していると。まるで国が税金を徴収して、威張りくさって地方に金を分配している方法に似ている。Jリーグのやりかたがいいかはかなり疑問である。
 というのは集めた金を機構やチェアマンがごっそり抜き取る利権が発生するからだ。
この前朝日新聞にオリンピック貴族の特集があった。IOCの会長は70万円/日生活費につかっているそうだ。
 この小説にも、国際陸連会長なるとんでもない貴族がでてくる。こんなのを読んでるとオリンピックなんて大嫌いになる。
 絵画が芸術的に優れているか。これも主観的な部分が大きく灰色なところが多々ある。ここに金、権力が作家の才能とは関わりなくものをいう。二科展特選なんてのはかなり怪しい。
 そんなやましい世界を縦に横に清張が実に面白くこの作品で描く。
それから、実に面白いのだが、へぼ日本人絵描きが、アルルの近い町で、ゴッホの絵の贋作を作り画商を通じて世界に販売している。
 アルル市がゴッホ没後100年記念展覧会開催を計画する。そのため世界からゴッホの絵画を借り集める。アメリカの投資家、イギリスの大富豪から借りたゴッホの絵は、その日本のへぼ絵描きが描いた絵だと作家本人が発表するところ。
 この作品は安田火災の会長がとんでもない値段でゴッホの「ひまわり」を購入したことをあさはかな行為であることを言おうとしている。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 18:11 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「翼」白石一文

再読です。まだ文庫化はされていないようで、「文庫化への道」というtwitterアカウントがあります。

140118_1252~01

↑下の段の真ん中です。
しかし、「火口のふたり」は何度見てもとんでもない表紙だな……。「ほかならぬ人へ」も単行本であったのですが、爺やのカオスな本棚で遭難中。

初めて読んだときは、「誰ともうまくやれないからこそ、きみとだけはうまくゆくようになっている気がする」という岳志のセリフが記憶に残りました。
なにせ結末が結末なので、そういう人間と出会わず、直感も気づかないふりをし、運命だと思い込むことなんてせず、それなりの人生を歩んだほうが無難な気はしますね。
「彼が通る~」にも、「好きで好きでたまらなかった人の姉と結婚し、初恋の人とつながり続けることを選んだ」なんて人の話が出てきますが、巻き込む人間は少ないほうがいいんじゃないかと私は思います。思うのは自由ですが、身代わりだの手段だので結婚するのはどうなんでしょう。
まぁ、そういう「周りの人を不幸にしないよう生きていく」という考えの人は、これだという人に会っても自分を押さえておけばいいわけだ。たぶん。

二度目に読んで、気になったのは、主人公が「世の女性たちはよくあんな厄介な生き物をさして迷いもせずに産むものだ」と感じているところです。大学時代の友人である聖子が子供や実家の話をすると、「あんなに頭の良かった人なのにーー」なんて残念がってしまう。
「いつかは子供を作るんだから」と当たり前のように言う霧子より、この里江子のほうが親しみは持てます。もっとも、二人とも私とは違って仕事のできる女性ですが。
先日読んだ「群青の夜~」のヒロインさとるも、「働けないなら、結婚して代わりに稼いでくれる男を連れて来い」と母親に言われて受け入れていました。
さとるも里江子も育った家庭環境はかなり厳しいのですが、前者は結婚して子供を持つことに夢を持っているような描写があり、後者は自分が子供を欲しがらないのは親たちの影響だと考えています。やっぱり里江子のほうが理解しやすいかもしれないです。
子供時代に傷を負っていない限り、女は子供を欲しがるのが当たり前なんだろうか……うーん……。

白石さんの作品で一番すごいと思ったのは、「見えないドアと鶴の空」に出てくる、
「だって真悟の産声を聞いた瞬間にわたしは思ったんだもの。ああ、やっぱりわたしはあなたの子どもを産むべきだったって」
というセリフです。(上段左にある水色の本です)
わが子を「間違い」として否定するような女を、腹を痛めて生んだ直後に子供の父親ではない男(それも友達の旦那)を思うような女を、男性作家が書くとは思わなかったです。
「心に龍をちりばめて」や「私という運命について」も女主人公なのに、「翼」のほうが好きなのは、前二つが子供を持って終わるからかもしれない。もちろん、ほかの理由もあるでしょうけれど。

結末を知ってから読むと、六年後に自分は生きていないだろうと里江子が思っていたのも、何かの予感なんだろうかと思えます。彼女は生きていても、彼はもういない。

最後に、この本はサインありです。だから愛着があるともいえます。近所の本屋さんで買いました。浜松が登場するからなのか……
床が抜けそうなほど本がある我が家でも、サイン付きの本はそんなにないです。はさまれた紙が落ちないように読むのは、ちょっと面倒臭い。

140118_1253~01

単行本で買ってしまう、数少ない作家さんの一人です。

by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 22:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

 「絢爛たる流離」 松本清張

松本清張 「絢爛たる流離」(文春文庫)
短編連作集。
最近のミステリー小説は、リアリティのないトリックだけにこるもの。あるいは、犯人を追う刑事の孤独とか哀愁を中心とした人生物語で斬新なトリックのないものにと2分されるようになった。
 清張は当時社会派ミステリー作家といわれ、トリックにこだわる作家たちから異端扱いされていた。この短編連作集は、批判する作家たちよりトリックは清張のほうがすぐれていることを言いたくて作られた短編集だと思う。
 とにかくトリックが想像できない類のものだが、いかにも巷にはありそうだと思わせる。清張の面目躍如。
長靴をかぶせて窒息させ、その長靴を履いて雨の中歩き回り指紋を消す。安保闘争の過激派デモに被害者をもぐりこませ、過激派たちに殺させるとか等。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:38 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

 「黒の様式」 松本清張

松本清張 「黒の様式」(新潮文庫)
中編3篇収録。
3篇の中では2番目の「犯罪広告」が面白い。
20年前、母親が養父に殺害されたと、地方紙に広告をだした息子甚吉。広告を2週にわたって出したので、小さな甚吉の住む町では大騒動。母の遺体は養父の床下に埋められていると甚吉は広告で言う。20年前ではすでに時効であり警察も対応したくないしできない。それでも噂は大きくなる一方で、しかたなく養父は大勢の前で、床下を掘ることに同意。しかし、結果は何も発見されず。
甚吉は精神異常者とされている。精神異常者は独特の鋭い勘を持っている。で、結局母親は養父のミカン畑に埋められていると勘で思う。実はそれがあたっていた。
養父はしらばっくれようとしたが、甚吉がもし掘り返したら、殺人がばれることを恐れる。そこから話はクライマックスへ。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:37 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

 「事故」 松本清張

松本清張 「事故」(新潮文庫)
2編収録。
本のタイトルにもなっている「事故」も面白い作品だったが、2作目の「熱い空気」のほうが圧倒的に面白い。
 世間的に幸せで一流一家といっても、案外世間体をとりつくろっているだけで、真実は崩壊しかかっている家庭も多い。一流で、一般とは異なるという意識が強く、そのようにふるまおうとするから、実際とのギャップが大きくなりそこにそこはかとない軽薄さと哀れさが生まれる。家政婦信子は、ただ傍観者でみているだけでなく、更にそんな滑稽な家族を混乱させ不幸に落とそうとあれやこれやと企み実行、それで家族を困惑させることをを無上の喜びとしているからたちが悪い。
 大学教授である旦那が、水戸で講演があるからと嘘を言って、箱根に不倫旅行にでかける。ところがその箱根のホテルでチフスの患者が4人発生。厚生省および警察が、当時の宿泊者の身元調べを始める。また、宿泊者は厚生省に申し出るよう公告を新聞テレビで発する。教授は不倫旅行だから、当然偽名で宿泊している。教授はどうしてよいかうろたえる。そこを、信子があれやこれやといびる。このあたりがたまらない。
 かって大ヒットしたテレビドラマ「家政婦はミタ」のヒントは清張の「熱い空気」にある。第一回目のドラマは「熱い空気」そのものである。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:36 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「陰花の飾り」 松本清張 

松本清張 「陰花の飾り」(新潮文庫)
短編集
切れ味があったり、ユーモラスなもの、少しペーソスがあるもの、いろとりどりで中味豊かな小説集。
 ベトナム戦争時の北ベトナムに招待された、ベルギーの女性詩人とカナダの大学教授とのペーソスあふれる恋愛。
 3000万円を奪取した銀行女子行員。不倫男と結婚するため男の妻への慰謝料にするため
そのお金を持って妻への実家に向かう。途中の乗換駅で空腹がつのり弁当を買おうとするのだが、銀行から奪った一万円札しかなく、それをだすと弁当屋が釣りがないと断る。
でもどうしても腹がへり弁当を買いたい。それで、子供が切符をかった釣銭の100円玉につい手がでてしまう。それを親にとがめられ警察につきだされる。皮肉。
 そのほか本当に味わいのある作品が並ぶ。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「危険な斜面」 松本清張 

松本清張 「危険な斜面」(文春文庫)
短編集。「失敗」がなかでは面白かった。
杉並区の住宅に2人組の強盗がおしいり、お金など金品を盗むとともに、夫人を殺した。犯人はすぐわれ主犯は浦瀬、従犯は大岩という男。警察は必ず犯人は自宅に現れると思い
大岩の九州の自宅を張った。この自宅は飯場長屋で、張り込みはすぐばれるから、仕方なく、大岩の奥さんに頼んで、大岩の家の中で張り込みを行うことにした。張り込みは2人の刑事、島田と津坂。夜は3時間交代で仮眠をとりながらの張り込み。
 大岩から奥さんに手紙が届く。それによると、何と張り込みの隙をねらって奥さんと大岩が自宅の庭であっていることがわかった。そして、その直後大岩は自殺する。
 警察の大失態である。大岩と奥さんがこっそりあったとき、2人の刑事とも眠っていて、気付かなかったのであるから。
 そんな失態はありえない。実は大岩の奥さんの境遇と似通っていた津坂が、奥さんに恋慕の情がわいて出会いを見逃したのである。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:20 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「神と野獣の日」 松本清張 

松本清張 「神と野獣の日」(角川文庫)
以前よんだことのある本をまた買ってしまった。
清張にはめずらしいSF的色彩をもった作品。Z国が誤って核弾頭搭載のミサイルを5発東京にむかって放たれた。2-3発は迎撃ミサイルでうちおとすことができるが、5発全部は撃ち落とせない。核弾頭はヒロシマ原爆の5倍。東京到着までは43分。
 この間の自衛隊、政府、大衆の混乱ぶりを丁寧に描く。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:19 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「山峡の章」 松本清張

松本清張 「山峡の章」(角川文庫)
経済計画庁のエリート官僚堀沢は、父も官僚、父の兄は大学教授というエリート一家。堀沢が結婚した昌子は、商売家の娘。
 この話、昌子の妹怜子と堀沢が岩手県の作並温泉で死体となって発見されそれが心中なのか殺人事件なのか解いていく物語。そのことより、官僚の家系を背景に堀沢が、商家の娘昌子や昌子の家族を見下す態度、とにかく一般の人たちを小馬鹿にする態度を赤裸々に描いて見せる。そのくせ役所では出世コースにのることに腐心。課長の茶坊主として自らのことや家族はすべて犠牲にして全精力を傾ける。
それで幸せが約束されるか。茶坊主はその全精力のためとんでもない事件に巻き込まれるのである。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 23:48 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「砂漠の塩」 松本清張 

松本清張 「砂漠の塩」(新潮文庫)
清張にはめずらしく正統派の恋愛小説。
ヨーロッパツアーの一団にはいった泰子は到着したパリで、ツアーから離れカイロへ向かう。一方会社の出張で香港にきていた真吉は、香港から会社に退職届を郵送。そのままカイロへ向かい泰子と会う。2人は、それぞれに家庭がある。その家庭をほっぽりだしての
カイロへの旅。このまま日本には帰らないし、帰れない。それで心中する場所を求めて、
ベイルート、ダマスカス、それからバスでバクダッドへと向かう。その2人を追って、泰子の夫保雄が日本をでて、同じルートをたどる。
 それからいろんな出来事がある。泰子と真吉は結局小さな村から数キロ離れた砂漠のなかで睡眠薬を飲み心中をはかる。一方彼らを追ってきた保雄は、バクダッドへ向かう途中交通事故にあい、重傷をおう。
 生も死も五分五分。すべては神のおぼし召し。諦念につらぬかれた砂漠に暮らす人々と
砂漠での日本人の心中が実にリアルに描き出される。そして、この小説の見事なところは、心中の最後の顛末を、砂漠の日本調査隊隊員の報告記で語られるところ。
 それまでリアルだった砂漠での恋愛が、ずーっと遠のいた遠景にて終了する。それが砂漠からみれば実に人間のたわごとなど芥子粒にもならないはかなさを際立たせている。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 23:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「アムステルダム運河殺人事件」 松本清張 

松本清張 「アムステルダム運河殺人事件」(光文社文庫)
アムステルダムの運河でトランクに詰められた日本人商社員バラバラ死体が見つかる。
オランダ、ベルギー警察の捜査にもかかわらず、犯人はみつからず迷宮いりになった実際にあった事件を雑誌記者と暇な病院副院長の2人が実際に現地にとび犯人をつきとめる。
 雑誌記者が通訳を兼ねた世話役で、医者久間が清張のことだろう。
清張にはめずらしい典型的な推理のみの小説。
実際に起きた事件を久間こと清張が推理する。 

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 23:45 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「群青の夜の羽毛布」山本文緒

プラナリア(短編)だけは数年前に読んだことがあり、特に面白かった記憶はないです。だから、そこまで期待してはいませんでした。
電車の中で読むなら短編集にしようかとも思ったのですが、あらすじが気になったので今回この長編を読んでみました。

IMG_1048.jpg

あらすじにはミステリーと書かれていませんが、仕掛けがあります。
カウンセリングのシーンが何度か挿入されていて、そこに出てくる「私」が誰なのか読者に推理させます。「私」が誰なのか判明した後にも、もう一つ驚きが待っています。
なかなかうまくできています。

「母娘三人の憎悪が噴出するときに見えてくる戦慄の情景」の中身は、精神疾患で排泄物垂れ流しの夫(父)の存在を女三人で隠していたというもの。ヒロインが家から逃れられないのは、父親の世話をしなければならないから。
それが作者の意図したところなのだといえばそれまでですし、カウンセリングのシーンも伏線になっていますが、精神疾患・自殺・セックス・暴力・睡眠薬などは、禁じ手というか安っぽいというか……
母親が娘の彼氏を誘惑した心理もよくわからなかったし、父親の愛人にした仕打ち(犬神家の一族をちょっと思い出す)もわざとらしいし、語り手である彼氏の家族も歪んでいたという打ち明け話もとってつけたようだし、虐待の連鎖にまで触れているし、いろいろ詰め込みすぎじゃないかなとも思います。
心理戦というか緊張をはらんだ空気というか、うまく言えませんが、女三人のバランスみたいなものをもっと読みたかったです。

期待したものと少し違ったとはいえ、なかなか面白かったです。二日かかるかと思っていましたが、今日だけで読み切りました。
この作者さんの別の本も、暇なときに爺やの本棚から発掘してみようと思います。

by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 22:41 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「二重葉脈」 松本清張 

松本清張 「二重葉脈」(光文社文庫)
上位2社を追う、新参の家電メーカーイコマ電器が倒産会社更生法の適用をうける。会社の経費を追及してゆくと、三億二千万円が計算があわない。倒産直前に横領されたらしい。
 その横領に関係するのがワンマン伊駒社長と営業の前岡常務と経理責任者の杉村常務。
そして横領の件を捜査陣が詰めてゆくと、杉村、伊駒、前岡が次々と他殺死体となり、関係者がだれもいなくなる。そして最後にとんでもない犯人があらわれる。
 面白いけど、あまりに長編すぎる。680ページにもなる。で、殺人が発覚するまでがこれまた長い。361ページを費やす。その間が本当に退屈。その分確かに殺人がおきてからはいろんなことが次々おこって面白かった。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 22:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「海へ、山へ、森へ、町へ」 小川糸 

小川糸 「海へ、山へ、森へ、町へ」(幻冬舎文庫)
食をベースにした旅行記エッセイ。
テレビでも見たんだけど、天然氷をつくるところ。これが大変。たんぼみたいなプールに水をためる。氷は5Mにならないと人間を支えることができない。で、5Mになると氷の表面を削る。表面は均質でなく質が悪いからだと。それから、表面にとんでくる落ち葉や枯れ枝を毎日のように払う。雪は氷の出来の天敵。だから雪が降るたびに雪かきをする。
 こうしてひと冬に3回氷ができる。これをマイナス20度の冷凍室で夏まで保存。
ここまでして何を作るのか。絶品のかき氷だそうだ。目がくらんでぶったおれそうになった。この本でも紹介されている。
 木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」が一時有名になった。そんなことで木村さんの農園には毎年6000人もの人が見学に訪れているそうだ。講演や指導なんかにひっぱりだこ。それで年8回行う食酢の散布が4回しかできなくリンゴが普通のリンゴになってしまった。
 重要なことが忘れ去られ有頂天になっている木村さんがみえる。
こんなふうには書いてないけど、このエッセイを読むとお馬鹿な舞台で踊らされている百姓の姿がみえてくる。


by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 22:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「週末は彼女たちのもの」 島本理生 

島本理生 「週末は彼女たちのもの」(幻冬舎文庫)
出会いは洒落たバーで。気になるのはファッションとスタイル。ドライブ。高級レストランでの食事とワイン。有数の避暑地のペンションでの愛の交歓のひととき。
 記号や公式のような言葉や文章がちりばめられる。
記号からは哀感や喜びは伝わらないことをこの小説は教えてくれる。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 22:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「星籠の海」 島田荘司

久しぶりに島田さんのミステリーに浸かってみたくなりました
「星籠の海」なんだかタイトルかっこいいよね


事前にレビューを読むとそれほど絶賛というわけではないけど
「読みやすい」と何度か目にしたので購入決定

IMG_1023.jpg


確かに読みやすかった
おかげで睡眠不足になるわ家事は手抜きになるわで・・

IMG_1035.jpg


しかも小心者ゆえ女の子が痛い目にあっている場面ではもうやめて~
とハラハラするわ息苦しくなるわ

IMG_1036.jpg



で、下巻になると「これはこうだな、こうなるな」ってのがだんだんわかってきちゃいます
それでその通りになって特にどんでん返しとかもない
じゃ面白くないかっていうとそんなことはない、充分面白かったです


ラストは新幹線に乗って帰る石岡君と共に心地よい疲労感と
ちょっとセンチな気分を味わうことができました

本筋とはあまり関係ないけど福島原発と白血病についてちょこっと言及されてました
島田さんは何か言いたかったのかな?


それと先日読んだ「猫弁シリーズ」これは是非とも映像化お願いしたいものですが
御手洗シリーズは(不本意ながら漫画化されてるようだけど)映像化断固反対!

なぜならば・・・

御手洗さんを演じることができる役者は地球上に存在しないのだ!(絶叫)




by はなゆめママ

押してね
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 22:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「コットンが好き」 高峰秀子 

高峰秀子 「コットンが好き」(文春文庫)
高峰のエッセイは、養母との葛藤、文盲の状態から懸命に字を覚え、文学になじむ経験書いたものはジーンと胸にしみてくるが、庶民の顔をして豪華な暮らしを描くといやらしさが前面にでていやだなあと思うときと両極端。
 このエッセイ集でも、指輪を便器に落としてしまう、それを乗務員に訴えると、数十分乗務員が格闘して指輪をとりもどしてくれる。その飛行機会社の素晴らしさを書く。ダンヒルのライターのボルトが壊れこれを香港のダンヒルに修理をお願いする。十分ほどして店長が現れる。
 ライターは製造番号が刻印されているが、崩れていて判読できない、これは本物でないといい、是非本物を持ってほしいと新しいライターをプレゼントされる。
 高峰は、飛行機会社、ダンヒルをこれいじょうないほど持ち上げる。しらける。それは高峰だからやってもらったこと。そこが高峰にはわかっていない。
 そうかと思うと、越路吹雪への追悼のエッセイは実直で感動的な作品になっている。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 21:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「スピン キッズ」 中場利一 

中場利一 「スピン キッズ」(徳間文庫)
15歳同士の不良友達がいる。かつあげ、けんか、やくざのパシリ。どうしようもない底辺を走っている。友達同士の一人は絵が天才的にうまい。もうひとりは救いようのないばか。
天才が道で絵を売っていると、一流画家の目にとまる。画家は自分のところに来なさいと毎日誘う。
 不良を脱出する絶好のチャンスだ。だけど、友達はどんなに馬鹿でも最高のもの。だから友達は捨てることはできない。そしておなじ底辺の暮らしが果てしなく続く。
 底辺は悪い?そんなことはない。証拠にここでのみんなの絆は強い。心療内科、カウンセリング、精神病なんてこととは無縁だ。どんなおかしなやつだって包み込むのだ。人生脱線結構いいじゃないか。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 21:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「ノラや」内田百閒

「トラや」を読んだので、「ノラや」も読むべきかなと。

IMG_1047.jpg


思ったよりも猫がいなくなるのが早かったです。猫が死期を悟って出ていったのに、飼い主があきらめきれずに探す話だと思い込んでいました。
ノラと暮らした一年半のエピソードはさほど多くなく、ノラを探して新聞広告を出してみたり、似た猫の死体を埋めたという電話が来たら掘り返しに行ったり、その後の話がほとんどです。掘り返すのは……すごいですね。
風呂の蓋に座っていた猫を思い出すのがつらいからと、いなくなってから長らくお風呂に入らなかったそうな。なかなか重症です。

ノラがいなくなって泣いている著者のため、毎日のように呼び出されて一緒に夕飯を食べていたという人が、なんとなく気の毒にも思えました。「たかが猫くらいで」なんて言わなかったんでしょうけれど。
もしかして、あとがきを書いている人が、その呼び出されていた人かもしれない。著者については全然知らず、交友関係もさっぱりわからないまま読みました。

猫と暮らすエピソードとしては、二匹目のクルのほうが多いです。「お前はノラと違う」「ノラはこんなことしなかった」と言われ冷たくされていたクルが、かけがえのない存在になっていく流れは、悲しいような心温まるような。

あと、猫の腋をくすぐるというエピソードは、杉作さんの漫画にもありました。私はやったことないです。ゆめこの腹をなでることはありますが。
二匹の猫が食べていたものは、なかなか豪華です。小鯵・鯖・かれい・なにやら高級そうな牛乳などなど。クルは毎日猫の医者に往診してもらっていたというし、昔の話(読みがわからない漢字がたくさんありました)だから飼い方が雑だと思っていたら、とんでもありませんでした。

我が家はたぶん、ここまで探さないだろうな。別に、愛していないわけじゃないけれど。

by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 22:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

 「とり残されて」 宮部みゆき

宮部みゆき 「とり残されて」(文春文庫)
宮部みゆきと川上弘美は、幽霊とか、魂の彷徨いとか超常現象を描くのが得意な作家だ。川上は、現実ばなれした現象を描くが、宮部は現実と区別できない、境界が混濁しているようにその世界を描く。見たことも聞いたこともない世界なのに、宮部は本当にリアルに描く。たぐいまれな才能である。
 精神的病は未経験だからわからないが、決まった時間に同じささやきが聞こえたり、
いつも全く同じ夢をみたり妄想がでてくるということはあるのかもしれない。
 この短編集に収められている最後の作品「たった一人」は、導入部、それから妄想にとりつかれていて、ふりまわされる運命があり、その克服に挑む主人公の姿が鮮やかな筆致で描かれる。
 「運命を変えてはいけないなんて戯言だ。それじゃ生きる価値はない。」
この最後に近い部分の一行が強烈に響き渡る。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:30 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「痺れる」 沼田まほかる

沼田まほかる「痺れる」(光文社文庫)
恐怖ホラー小説短編集。
山口県の山村で、小説を超えるホラー事件がちょうど本を手に取ったときに起こり、恐怖が半減した。現実は怖いね。
短編集のなかでは、ホラーとはすこしかけはなれていてペーソスもある「タンガロンハット」が面白かった。旧家に一人住まいの次子のところにテンガロンハットをかぶった山田さんなる
えらい美男な青年が現れる。庭の手入れを格安の値段でおこなってくれる。それが終わったら
樋の修理これも格安。玄関。物置場と勝手に格安でどんどん直してくれる。
 最初は安くて喜んでいたが。あれもこれもとなるとさすがに格安でも手元のお金がなくなる。
勝手に直しきれいにしてゆくところがちょっと恐怖。
 で、面白いおちがついて最後にペーソスが訪れる。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「真夏の方程式」 東野圭吾 

東野圭吾 「真夏の方程式」(文春文庫)
小説は深海レアメタル開発調査とそれをすると海の自然環境が破壊される。開発会社と自然破壊反対運動とのせめぎあいできっておとされる。きっとそこから事件がおこり、汚職なんかがあってどす黒い人間の戦いがあると想像しているとこれが完全な肩すかし。
 親子、家族の問題。そこにつけこむ脅迫それで殺人。そこに流れる深い人間の情愛に物語は変転する。なんだかだまされたみたいで物足りなさが残る。
 東野の関心は理工系が練りに練った科学トリックがどれほどすごいかを読者にみせつけることに力点があったんだろう。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 20:27 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「猫のパジャマ」レイ・ブラッドベリ

タイトルに惹かれて買いました。
表題作には、子猫を川に流すエピソードが出てきます。南木さんの本でも出てきました。どこの国でも似たような始末をするんですね。

140113_1019~01

オチのわからない話も多かったです。時間を旅して、今は亡き文豪や偉人に会うような話もあるのだけれど、そこに出てくる人たちがわからない。ポオやフィッツジェラルドくらいは聞いたことがあるんですが……
あとがきにも、若い人には良さがわからないというニュアンスのことが書いてありました。

「私が死んでも作品は生き続ける。200年後の火星で、12歳の少年が私の書いた『火星年代記』を読んでいる姿を想像する」
みたいなことを言ったそうです。そこまで名を残せる人はそうそういないでしょうね。
そういえば、百田さんの「夢を売る男」で、自費出版を勧める主人公のセールストークに、
「わが社から本を出せば、ISBNコード付きのものになる。国会図書館が存在する限り、百年でも二百年でも残る」
というものがありました。
残ったからといって、取り出されて読まれる本はどれほどあるのやら。

本屋さんもスペースに限りがあり、どんどん新しい本が出版されるから、「今度来たとき買おうかな」と思っていた本はもう店頭から消えている。そういうときはネット通販が便利。
……話がそれました。

賢い蜘蛛が出てくる話と、「おれの敵はみんな死んでしまった。生きていても意味がない」と嘆く男に昔の悪行をばらして生きる気力(怒り)を与える友人の話が、印象に残りました。

by はなゆめねえや

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 10:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

「続 日本国の研究」 猪瀬直樹 

猪瀬直樹 「続 日本国の研究」(文春文庫)
全国に社団法人が経営しているゴルフ場が30の余ある。社団法人とはその活動に公益性があると認められ、法人税より約10%安い税金や、地価税免除が受けられる。
 ゴルフ場経営の公益性など全く理解不能である。なぜ国はゴルフ場経営に社団法人を認可するのか。
 名門コース、保土ヶ谷カントリー倶楽部も社団法人。会員になることは至難の技がいる。会員のプレーフィーは1700円。ビジターは25000円で、土日のプレーは不可。
 それで、公益性はどこにあるのかと聞く。
「近くの園児が遠足に来たときに、無料でパンを配っている」との回答。

by はなゆめ爺や

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

| 日記 | 17:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT